「私を助けて」歌舞伎町で声をかけてくる女...援助交際の最新事情 by渋井哲也

2013年12月26日 援助交際 歌舞伎町

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 年末の歌舞伎町の未明に、ある女性から声をかけられた。「一杯飲みに行きませんか?」と話かけられたのだ。女性は一人だった。私はナンパされたのかと思ったものの、年末の歌舞伎町で見ず知らずの女性に話しかけられること自体、なにか怪しそうに感じたため、断った。しかし女性は諦めず、「ホテルに行きませんか?」と誘って来た。ますます私の警戒心が高まった。こうした女性に歌舞伎町の路上で話しかけられるのはこれが初めではない。

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 金曜日の未明、新宿・歌舞伎町の靖国通り沿いのドンキホーテ近くで、真っ白なコートを来た女性から「あのぅ、一杯飲みに行きませんか?」と声をかけられた。家出少女のようには見えない。髪は黒のショートヘア。見た目は派手ではないため、キャバクラ嬢のようにも見えない。一見、歌舞伎町に遊びに来た女性ではないかと思った。

 私はそのときひとりで歩いていた。自宅に帰るところだった。こんなタイミングで声をかけるということは何かあるのか? と思い、警戒心が増した私は「もう帰ります」と断った。すると、その女性は続けざまに「では、ホテルに行きませんか?」と誘って来たのだ。

 女性の誘いに断り続けたが、その女性は何度も声をかけてくる。そのため、私は「もう疲れたし、眠いので帰ります」と言った。女性は「じゃあ、眠っていていいですよ。私が癒してあげますから」と、しつこく誘ってくる。そのうち、女性は本音らしき発言をした。「支払いがたまっているので、助けてください」。つまり、援助交際をしようというのだ。一応、希望金額を聞いてみると、「2万円」と答えた。

 路上で声をかける女性が多いのは、かつては歌舞伎町の奥にある、東京都健康プラザ「ハイジア」周辺だった。そうした女性たちは"ハイジアン"と呼ばれたこともある。このハイジア周辺は、時期によって、立っている人たちの"種類"が違っていた。ある時期は日本人女性ばかりだったが、別の時期は南米出身の女性ばかりになっていた。そして、また別の時期は、客引きの男性が立っていて、女性を紹介するといった形だったりした。最近では、ハイジア周辺では、路上で待てないように柵ができ、さらに取り締まりを強化をした。そのためか、立っている人がほとんどない。

 歌舞伎町には出会い喫茶や出会いパブがあり、援助交際の交渉が行なわれることがある。その相場は「3万円」という女性が多いということは、私の取材経験から知っている。そのため、「出会い喫茶に行けばいいのに」とは思ったものの、おそらくは出会い喫茶に行けない事情があるのだろう。

 未明の出会い喫茶や出会いパブには、終電を逃した女子大生やOLらが始発待ちの利用が多かったりする。出会い喫茶に入るためのに女性は無料のため、携帯充電のためだけに、入店する女性たちもいる。そうした女性たちを男性たちが指名して、カップルシートで話をするといった仕組みだ。そのため、女性はいつも選ばれる側になっている。出会い喫茶には20代の利用者が多い。

 しかし、今回話しかけてきた女性は20代後半から30代前半のように見える。出会い喫茶や出会いパブで指名される可能性はそれほど高くない。仮に、指名されたとしても、希望額で援助交際ができるとは限らない。そのため、路上で声をかけ、交渉の主導権を握りたかったのかもしれない。ただ、断っていたら、「ホテル代込みで2万円でいいから」と交渉額を下げて来た。

 路上での声かけは、素人の場合はリスクがある。歌舞伎町では、フリーで援助交際をし、目立った動きをする女性はショバ代を支払わないと目を付けられることがある。私も以前、家出少女2人に声をかけられたことがある。そのうちの1人はショバ代を支払ってないために、マークをされていると、別の一人が言っていた。とはいえ、たまにしかしない場合は気がつかれず、マークが緩い。

 その一方で、援助交際の交渉の場が路上からネットに移動しつつある。ネットでの相場が1万5千円~3万円の範囲が多い。景気がよくなったためか、1万5千円を提示する女性が減っているように感じる。今回話しかけて来た女性も「2万円」の提示だった。

 「ごめんなさい。しつこくて。私が悪いんです」。

 結局、その女性は私を"客"にすることを諦めた。そして、また別の男性に声をかけるためか、もとにいた方向に戻って行った。

Written by 渋井哲也

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歌舞伎町/権徹

歳末助け合い。

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