尖閣諸島上陸
平野:最後の最後です。尖閣に行った高須さんとしては北朝鮮問題を今どう見ていますか? 尖閣行って旗振って右翼と喜んでたっていう(笑)。 20年くらい前の話ですか?
高須:それは2001年くらいかな。あの時はね、それに乗ってくしか行けないから。
平野:いや、結構賛同してたでしょ(笑)。 何であそこに旗を立てなきゃいけないの?
高須:いやいや、ちょっと見に行きたいって。やっぱり尖閣って自分らで行くとよくわかるけど台湾だよ。
平野:そうだよ、あんなのはどっちが領有権を主張したっておかしくねえんだよ。歴史的に世界中で領土問題なんていっぱいあるんだから、あそこで韓国が攻めてくるとか中国が攻めてくるとかバカなことを言ってる奴がいっぱいいて。
高須:絶対に間違いなく俺が確信を持ったのは、ここは台湾だよ。日本は関係ないって思った。琉球王国があって、これは日本ではないっていう確信を一つ。これは確信を持ちましたよ。
平野:そうなの? あんた言ってねえよ、そんなこと。初めて聞いたし、そんな話。
高須:その時、JALの人たちは理解していて、航行図ってあるでしょ? それに尖閣載ってないんだよ。
平野:高須は朝鮮なんかけしからんとか言ってた覚えがあんだけど違うの?(笑)
高須:でもね実際問題、もう尖閣は諦めた方がいいな。
平野:いいよ、日本に尖閣があろうとなかろうと(笑)。それで日本でさ、ネット右翼のなんかを読んでると平気で中国と戦争をしようと。今中国は日本の経済状態の3倍だよ。人口も日本の10倍なのに中国と戦争をしようなんてバカなことを言ってる右翼がいるんでさ、これどう思います? アメリカなんかはあの頃日本の10倍の経済力あったわけでしょ?中国は今3倍以上あんだよ。
高須:簡単じゃん。早く漢字捨てろよって言いたいよね。
平野:漢字?(笑)
高須:漢字。それは中国じゃないかって。だからそういうことだよと。中国の属国。
平野:中国の脅威って言ったって中国と戦争するわけにはいかないでしょう。
高須:そんなこと出来るわけないでしょ。言ってる意味が分かんないよ。万里の長城とか見てみろよ。勝てっこねえから。
平野:勝てっこねえのに平気で戦争するとかさ。
高須:ニューヨーク行ってみろって、違うだろ全然。勝てっこねえと思うと。戦争するなら、イギリスくらいだったら勝てるよ。
平野:もうごめん、最後の最後の最後。日本はこれからどうなるんですかね?
高須:日本は漢字の国だし。"漢"字って言ってるんで。
平野:日本は文化でももう終わってるでしょ。何もない。
高須:何もない。中国の延長線上に文化も顔も文字まで。
平野:今だって、中国と貿易できなかったら日本やってけないもんな。
高須:コンビニ見たって全部分かるよ。
平野:昔さ、反米愛国だった頃、「アメリカと仲良くしないとやってけないよ日本」ってこと言ってきたわけじゃないですか。だから、こんな差別的な軍事同盟はないけど、やるしかないんだって。アメリカが強過ぎたんだよ。
アメリカに経済依存すんごくしてた時にはそうだったし、今は中国にほとんど依存してるわけだから中国のいうことを聞くしかねえよ。日本は今まで聞いてきたんだからそうやって。という話になんないの?
高須:実際問題、アメリカ一辺倒を止めることが大事で。アメリカ一辺倒を止めるという覚悟を決めた段階で、中国とソ連とやるのは当たり前でね。
平野:そういえば西部(邁)が残ってる。西部さんのアレが憂鬱でさ、だってこの寒い時にあの根性で多摩川入っちゃうんだよ。前からずっと自殺するって言ってたけど、すごいね。まあ病気だってあっただろうけど。西部の自殺っていうのは憂鬱なんだよ。俺もどうやって死のうかってずっと考えてるわけだから。
死に際は考えるよ。西部、すごいなって衝撃を受けて。根性あるなって。これはすごいよね。あの寒い多摩川に入ってくなんて俺は嫌だよ、そんなの。多摩川でどうやって死ねるんだろ、あんな大して深くないのに。水をむちゃくちゃ飲んで。あの死ぬ感じっていうのはどうなんですかね?
高須:そこで1コ、鳥越俊太郎っていうのを比較で見るのよ、俺。
平野:鳥越となんて比較になんねえだろ。
高須:全然違うけれど、京大と東大の差で違うんで。鳥越俊太郎はガンになって死にそうだっつってテレビのニュースにワーワー出てね、それでまだ生きてんのよ。そういう奴と、リベラルを気取った毎日新聞社的なああいうジャーナリストでニュースの職人なんて言ったあいつと西部の差っていうのは覚悟が違ったっていう。
平野:すごいね。これは俺もすごい残ってんだよ。俺は西部さんの自殺は最近のショックの1つ。
高須:最後の方はテレビに出る時に手袋してたんだよ。俺はもう触りたくないって。汚い手は俺はもういいっていうそういうパフォーマンスじゃなかったのかなって俺は思うんだよね。
平野:高須さんに質問はまだいっぱいあるんですけど、本当最後に。
俺はもうそろそろ社会的にも放逐される。2年くらい前までは、高須さんと同じように2週間に1ぺんくらい取材が来ててさ、テレビ出ろ、ラジオ出ろってあったのそれなりに。今、何もないからね。
でもそれでいいんだと、こうやってさ偉そうな事を言ってる奴が去っていくんだっていうのを体で感じてんの。
高須:年齢の問題かね。
平野:年齢の問題だよ。違うかね?
高須:俺はやっぱり、平野悠という存在は今が一番だと、そう思ってるので。
平野:高須さんこれからは何を仕掛けて、何をしたいのか。お前らこれから俺がやることをちゃんと見てろよっていうのは?
高須:陰毛も終わってるし、性器むき出しを誰がやるかですよ、日本で。
平野:性器むき出しをやってもらおうじゃん、面倒くせえから。
高須:性器むき出しを日本で誰がやるか。
平野:テーマそれ? 最後良いテーマが出ましたね。タイトルは何にしますかね。
高須:「性器むき出し〜最後の闘い〜」。
平野:でも、あんたがやってるのは下ネタだけじゃないじゃないですか。
高須:やっぱりさ、先の戦争の時によくわかったのは、きな臭くなるとこういう俺らみたいなエロ、小賢しい奴はやりやすいから一番最初に弾圧してくるのね。エロは生き生きとしてるから。それともう1つは小賢しいことに対しても弾圧に来るんで。
それがロフトであったりするんだよな。だからそれが自主規制をみんなし出してるのよ。それが良くないと僕は思ってるんですよね。エロが平和の証だからね。
平野:本当はね、俺は高須さんとこの前のラジオで燃焼し尽くして。あれおもしろいですよ、もう1回聴いてくださいよ。
高須:平野さんはちょっと昔と違うのはね、ここがピークだったっていうけど、俺は平野さんをずーっと見てて今がピークだと思ってるよ。
平野:ありえねえよ。
高須:いやいや、それは自分で思ってるだけで。絶対そう思いますよ。
平野:ありえないって。本は売れねえしよ。知ってる? 2000部しか売れてないんだよ。1万は行くと思ったのに。
高須:園子温なんか出しちゃうからいけねえんだよ。
平野:こんだけのタイトルつけて、大変なもんだよ。
高須:でもさ、今回、(新しい)店をやるじゃない。俺は平野さんが先陣切ってやるべきだと思ってるんだよ。
平野:俺が一杯酒を飲んで良い音楽が聴ければいいなっていうだけの店を作るんで。
高須:でもさ平野さん、俺はすげえなって思いましたよ。やろうとしてるのは温故知新じゃないもん。商売だもん。ロック喫茶や懐メロの店なんかはそんなのはいくらでもあるんだけど。
平野:今回はアナログ中心でいくんですけども、良い音で聴かせようってことと、体で音楽を聴かせようってことで。
高須:俺なんて今、マンションでガンガン聴けないもん、昔みたいに。うるせえんだもん周りが。
平野:俺達が言いたいことは、俺達の時代は1日あの頃は大体アルバイトして2000円。その2000円をね、1日働いてお金をつかんでレコードを1枚買うわけだよ。今のガキ共は無料で全部聴けちゃうわけでしょ? 音楽の聴き方が違うんだよ。ちゃんと勝負しろっていうことが今回の店の中心テーマ。
で、若い奴にお前ら2000円でレコード1つ買ってみろってくらいの、それじゃなきゃ音楽真面目に聴けないですよ。
高須:自分のレコードって離婚、結婚を繰り返すと1枚も残ってないんだよ。平野さん、今回これは平野さんの現役宣言だと思ってますよ。それでテーマが温故知新であってはならんと思ってる、絶対。平野さんは現役感ギンギンなのに人と会うと終わってると言うし。
平野:終わってるよ。
高須:セックスは終わってるかもしれないけど。
平野:セックスは終わりたくないんだよ、実は。なんとかしてくれよ。
高須:俺はそこんところは今回現役宣言で。だってみんなが酒やめろ、痛風になるからやめろって言ったって、飲んでるもん俺。
平野:俺も飲んでるよ、結構。高須さん頼みますよ。うちは埋もれたものを引っ張り出して、お客をあまり気にしなくていい。何が当たるか分からないからさ。
高須:俺、今銀座でやってんのよ。昔のルイジアナっていうライブハウスがあった、そこで。名前変えて...
平野:トークショーやってんの?
高須:トークショーやってんの。
平野:失礼しました(笑)。
高須:それは40人から50人くらいの。毎月1回バッチリやってんの。でも、その時は温故知新やんないですよ。
だから平野さんも温故知新をバイバイ。平野悠が団塊世代にバイバイ温故知新、現役宣言、キメる時は昔の背広を脱いで来いと。平野さんハゲてないし、元気だし。平野さんその宣言をやってください。だから温故知新反対、家庭内鎖国反対。家庭内で鎖国すんじゃねえぞって言ってくださいよ。
平野:現役宣言なんて眉唾だよな。今更何を言ってるんだっていう。
高須:全然大丈夫だと思いますよ。現役宣言じゃなくて会長返上宣言とかさ。
平野:はい、ということでありがとうございました。
(構成 高橋啓)
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