やしきたかじんさんが亡くなった。今週の土曜に『たかじんNOマネー』(テレビ大阪)へ収録に行く矢先の訃報だった。
2011年11月26日には『増刊たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)に出演させて頂いた。そこから、たかじんさんの冠がついた『たかじんNOマネー』にも二度ほど呼んで頂いたが、たかじんさんの司会は見ることはできなかった。偲ぶ声は僕より親しかった方々が述べているであろうから、外野から番組に出演した者として想いを述べておきたい。
東京育ちの僕は、たかじんさんの大阪での人気を実感していなかった。しかし、タクシーに乗って大阪に行く度に(そんな頻繁ではないけれど)ドライバーに話をふってみると「(たかじんさんは)面白いなあ」といった声が必ず返ってきた。この感覚は関西圏外に居住する人には中々分からないかも知れない。
『増刊たかじんのそこまで言って委員会』は、観客をスタジオに招いての収録だった。ヒナ段でパネラーである僕ら編集者(四人)が待ち構えてると、たかじんさんがスタジオに颯爽と登場した。その印象は正に「颯爽」という表現がふさわしかった。
その時の圧倒的存在感は忘れられない。客の拍手。そしてスタジオの空気が一変。華やかというか、瞬時にスタジオが「たかじんさんの世界」に変わった。僕はたかじんさんと何度も仕事をしているわけではないので、余計にそう感じられたのかも知れない。「これが噂の『たかじん』か!」という想いで一杯になった。
収録中、芸能スキャンダルの話題についても、こちらが引く程、突っ込んで聞いてこられた。当時はオセロの中島知子の洗脳騒動が盛り上がっていた時期で、たかじんさんは率直な疑問をどんどんぶつけてくる。こちらは気を遣って話そうとしたが、そのタガを外すかのように、それでいて嫌味を感じさない人となりに驚いた。
観客を入れてのスタジオ収録が僕にとって初めてだったからかも知れないが、その存在感に圧倒されっぱなしだった。その日、オンエアされたかどうか分からないが、「喉の調子がおかしいので、これから入院する。けど大した事はない」と言っていた。たかじんさんはその時すでに、体調が悪化していたと後で聞いた。
それが二年前の収録だ。たかじんさんがスタジオに入って来た時の「颯爽感」(造語です)は今でも忘れられない。本当に残念としか言えない。
Written by 久田将義(東京ブレイキングニュース編集長)
Photo by たかじんnoばぁ~ DVD-BOX THEガォーLEGEND
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