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【橋下市長vs在特会】殺風景な地下会議室は嫌悪感の現れか|久田将義コラム

2014年10月22日 久田将義 在特会 橋下市長

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 罵り合いとかプロレス等と言われている、この意見交換会だったが、喧嘩にもなっていなかったし、エンターテインメントとしてのプロレス(プロレスの定義は置いておく)にもなっていなかったが、感じた事を書いておきたい。

 冒頭、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠会長が取材陣に向かって「許可なくカメラを撮っていたのはどこの社だ」と怒号を浴びせる。NHK、朝日、毎日、共同通信等を名指して罵倒した。これは格闘技で言う所の「シャウト効果」なのかなとまず思った。キックボクシングや空手をやっていると分かるが、空手だと「せいっ」とか、キックだと「エシッ」といった声を入れながら蹴ると強く打てる。気合いが入るとでも言おうか。このタイミングでの桜井氏の罵倒は「とりあえず怒鳴っておきました」という場面を作るという以外に、自分でも意識せずに「シャウト効果」を行っていたのかもしれない。

 また、あまり指摘されていないことだが、面談会場の場所にも注目した。大阪市役所の地下会議室というが、とても(一応)団体の長を迎える場所とは思えない殺風景な部屋だった。まるで会社の倉庫の荷物をどかして空き室にしたような雰囲気で、橋下市長の桜井氏に対する評価がこの面談会場選びだけで汲み取れた。

 おそらく橋下市長は最初からまともな議論などするつもりはなかったのだろう。一方、桜井氏は橋下市長と議論を交わしたかったのではないだろうか。しかし、橋下市長からは会場選びからして「在特会など、この程度で十分」というような意思が伝わってきた。

 あとは動画を見れば分かる通り、「お前」呼ばわりの応酬だったが、最初に「お前(と呼んで)でいいのかよ」と「お前」呼ばわりしたのは桜井氏だった。意識的に挑発したのかどうかは分からないが、橋下市長はその挑発に乗った。同じ土俵に立ち、「お前なぁ」から始まって「調子に乗るなよ」と子供じみた口喧嘩が続く。橋下市長が仮に、大人の対応で冷静に議論をしたとしても、桜井氏は元々、冷静沈着な論客タイプではなく、恫喝技術に長けているだけなので、いずれにしろ議論にも意見交換にもならなかっただろう。

 面談の途中、桜井氏が席を立って橋下市長に詰め寄ろうとするが、これはどういう意図があったのか。「あれは完全にハッタリ。周囲のSPに止められるのを前提にした行動だったのだろう」と言っていたのは動画を見た裏社会の人間だ。橋下市長は退場する際、「お返し」とばかりに桜井氏ににじり寄ろうとするのだが、これも周囲のSPに止められている。この場面を見て、橋下市長がよほど桜井氏に対して感情的になっているのだなと感じた。橋下市長は北野高校のラグビー部出身で、しかも強豪揃いの大阪から花園出場を果たしているアスリートだ。少なくとも桜井氏よりは体力に自信があるはずで、その裏付けから来る「にじり寄り」なのかなと感じた。

 その後のぶら下がり会見では、記者から「大人気なかったのでは」という質問に対し、橋下市長はいつもの"橋下節"で応えた。「じゃ、あの場にいてみて下さいよ。(ああいう態度に)そうなりますよ」という言葉を聞いて、あの対応は芝居でなく、感情から来るものだったのだなと確信した。

 冷静に、大人として対応すべきだったという橋下市長に対する批判はもっともだが、市長といえど人間である。故浜田幸一氏のように国会で椅子をぶん投げ暴れまわった代議士もいた。これは良い悪いの問題ではなく、公人と言えど感情を持っている人間であるということ。それ以上でもそれ以下でもない。

 なんら具体的な意見交換も議論もなかった面談だったが、橋下市長の「差別主義者は大阪から出ていけ」という言葉だけは何度も繰り返された。今後、この発言がヘイトスピーチ問題にどう影響を与えるのか、注目したいところだ。

Written by 久田将義(東京ブレイキングニュース編集長)

Photo by 橋下徹「まっとう勝負」

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橋下徹「まっとう勝負」

嫌悪感ありあり。

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