「餃子の王将」店内に全裸で座る男性客の写真がTwitter上で公開されて問題になっている。これなどは世に言う「バカッター」なる典型的な出来事だろう。
その他にも、店内の冷蔵庫に入ったとか、グループフルーツをくわえたとか、芸能人の来店報告をしたとか、信じがたいツイートが散見されるが、ここにきて「バカ」にとどまらず、「罪」のハードルを越えてしまう事件もたびたび報告されるようになっている。
たとえば、こんなニュース。
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「中2病だからパトカー荒らしてきたぜー」Twitterに写真投稿、少年2人逮捕
若い男がミニパトカーの屋根に上った写真をTwitterに投稿する騒ぎがあり、北海道警釧路署は8月26日、器物損壊容疑で19歳の少年2人を逮捕した。
写真は25日朝に投稿されたもの。若い男性2人が道警のミニパトカーの屋根に乗ってピースサインをする写真とともに「中2病だからみんなでパトカー荒らしてきたぜー」とツイートされていた。
ミニパトカーは釧路管内釧路町の交番に駐車されていたものと判明し、同署が捜査。ミニパトカーの屋根に傷を付けた器物損壊の疑いで少年2人を逮捕した。
報道によると、少年は「調子に乗ってやってしまった」と容疑を認めているという。
(2013年8月26日 ITmediaニュースより)
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バカである。
その上、罪なのである。
しかし、少年の「調子に乗ってやってしまった」という素直な供述を見ると、少し暖かい気持ちになるではないか。今後彼らにはパトカーの上にも中にも乗らないよう心がけていただきたい。
続いては、もう少し深刻なこのニュース。
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「なぜ騒ぎにならない」とツイッターに殺人予告書き込み、自首した容疑の男を書類送検
短文投稿サイト「ツイッター」に、札幌駅での殺人予告を書き込んだとして、札幌中央署は13日、偽計業務妨害の疑いで、東京都練馬区の無職の男(21)を書類送検した。
送検容疑は5月29日午前10時ごろ、携帯電話からツイッターに「今日正午に札駅(さつえき)で人を殺します」と書き込み、警察官約30人に札幌駅を警戒させ、道警の業務を妨害した疑い。
同署によると、男は6月3日、「自分が書き込んだ。なぜ騒ぎにならない」などと同署に自首。「ネット上で目立ちたかった。捕まるなら、気に入っている札幌が良かった」と供述しているという。
(2013年8月13日 北海道新聞)
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罪である。
その上、ちょっと寂しいのである。
「人を殺す」というつぶやきを擁護することはできないが、この21歳の無職の男性、きっと友達がいないんだと思う。「自分で」書き込み、「自分で」通報し、捕まっているが、この事件には当事者の姿しかない。今後は過激なつぶやきはやめて、ボランティア活動などを通して友達を作ってほしい。
そして、こんなニュースも話題になっていた。
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バス後部につかまる男の画像がツイッターに
横浜市交通局は2日、走行中の市営バスの後部にしがみつく男の画像が短文投稿サイト「ツイッター」に投稿されていたことを明らかにした。市は道交法で禁じられている危険な行為に当たるとして、神奈川県警に相談した。
市によると、8月31日午前11時10分ごろ、市営バスが同市鶴見区岸谷1丁目付近を走行中、車体後部につかまっている男を運転手がバックミラーで発見。すぐに停車して調べたが、男はいなくなっていた。
(2013年9月3日 日本経済新聞)
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バカと罪の間である。
できれば、バスから降りたこの男性に話を聞いてみたいと思っていたのだが、朝日新聞が詳しい内容を報じていた。この男性は17歳の少年で、すでに警察官に事情聴取されていたのである。
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走るバス後部につかまり乗り ネットに画像も
横浜市鶴見区で8月31日、走行中の市営バスの後部に人がつかまって乗っていたことが分かった。市交通局が2日、発表した。鶴見署が、道交法違反(道路での禁止行為)などの疑いもあるとみて調べている。
市などによると、31日午前11時10分ごろ、横浜市鶴見区岸谷1丁目を走行中のバスの運転手(47)がバックミラーで、後部に人が乗っていることに気付いた。通行人からも110番通報があり、駆けつけた警察官が、運転手と一緒に近くにいた少年(17)に事情を聴くと、「バスの後ろにつかまっている人がいたので、自分もまねて止まっていた時に乗った」などと話したという。
バスの運行に数分の遅れが出た。交通局は「重大事故につながりかねない。こうした行為には法的措置も含め、厳正に対処する」としている。
(2013年9月2日 朝日新聞デジタル)
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今回のケースは男性の年齢もあり逮捕にまでは至らないかもしれないが、今後はそうもいかないだろう。ちょっと怖いのは、こういうツイートを見て「俺をやってみようかな」と思う人がいそうなところである。悪いことは言わないから、バスの後ろにつかまって人生を棒に振ることはない。やめておきましょう。
バカなツイートが散見されるばかりか、罪の領域に踏み込んでしまう事例もちらほら見られるようになってきた。バカと罪の境界線は意外に近い。ひょいと飛んだら、その先は闇なんてこともあるのである。
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Written by 草下シンヤ
Photo by 半グレ/講談社