中川淳一郎の俺の昭和史

平昌オリンピックで思い出した「ロサンゼルスオリンピックのアノ伝説の数々」|『オレの昭和史』中川淳一郎連載・第十三回

2018年02月20日 

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heykall.jpg覚えていますか? 「ヘイ、カール」でお馴染みのカール・ルイス選手


オリンピックと商業主義が合わせて語られることが多いがまぁ、いいではないか。世界中が注目するイベントでそこで広告活動をやりたいと考えるのは自然なことだし、スポンサーがいてこそ我々は世界最高峰のレベルの競技を見ることができるのである。

そんなオリンピックと商業主義の関係性において「元祖」と言われるのが、1984年のロサンゼルス大会である。日本はソ連のアフガニスタン侵攻に抗議の意を示すべくアメリカに追随して1980年のモスクワ大会をボイコットしたため、1973年生まれの私が初めて見たオリンピックがこのロサンゼルス大会だった。この大会で印象に残っているシーンをいくつか挙げよう。

【蒲池猛夫、48歳の金メダルとそれを巡る松田聖子騒動】

日本の金メダル第1号が、ラピッドファイアピストルの蒲池。メガネ・白髪のオッサンだっただけに「こんな選手がいるの?」と仰天した。また、テレビは「蒲池」という名前と九州出身であることに注目。なんと、「蒲池選手は松田聖子と親戚か?」を追いかけたのだ。当時人気絶頂のアイドル・松田聖子の本名は「蒲池法子」だったのだが、名字と九州出身というだけで親戚疑惑をかけられたのである!

【チーズボロー】

女子陸上400mで銀メダル、4×100mリレー、4×400mリレーで金メダルを獲得したチャンドラ・チーズボロー選手のこと。女性なのだが、何度も競技に出るため、その都度「チーズボロー」と呼ばれ、「なんだかおいしそうな名前だな」と思ってばかりだった。

【メアリー・デッカーVSゾーラ・バッド】

陸上女子5000m、優勝候補同士の戦い。アパルトヘイト時代の南アフリカの「裸足の天才少女」ことバッドはアメリカ国民の期待を背負ったデッカーを転ばせ、その後とんでもないブーイングをくらった。

【カール・ルイス金メダル4つ】

陸上100m、200m、走り幅跳び、400mリレーで金メダルを獲得。「ジェシー・オーエンス以来の快挙」と言われた。なお、100mで3位だったのは、1988年ソウル大会でドーピングにより金メダルを剥奪されたベン・ジョンソン。

【エドゥイン・モーゼス、選手宣誓で言葉が出ない】

陸上400m障害のアメリカ代表のモーゼスは金メダル確実と言われていた。母国を代表し、選手宣誓をしようとするも、内容を忘れてしまったのか、まったく宣誓が開始しなかった。

【ロケットマン】

開会式でアメリカが自国の技術力をアピールすべく、宇宙飛行士のような恰好をした男性が空を飛んで着地。彼のことをロケットマンと呼ぶ。ドナルド・トランプが金正恩のことを「ロケットマン」「リトル・ロケットマン」と呼ぶが、これとの関係は不明。

【体操で10点が出まくり】

現在の体操では「10点」というのはなかなか出るものではないが、具志堅幸司や森末慎司が10点を連発。アナウンサーが「10点! 10点! 10点!」と何度も叫んでいた。

【中国人の名前に触れ、かっこいいと思う】

これまで中国風の名前といえば「楊夫人」(マダムヤン)みたいなものしか知らなかったのだが、李寧(りねい=男子体操)、張蓉芳(ちょうようほう=女子バレーボール)、郎平(ろうへい=女子バレーボール)、楼雲(ろううん=男子体操)といった名前を知り、「なんか中国人の名前、かっこいい」と思った。


日本関連のものがそれほどないが、10歳の少年にとって、外国人の名前がウジャウジャと出てくるだけにあまりに新鮮でついつい海外選手絡みの話題を覚えるようになったのだろう。26歳で見たシドニーオリンピックの時は井上康生や高橋尚子など日本人選手のことを覚えている。

当時の「アサヒグラフ」を読んでみると、ヨーロッパ圏の女性アスリートがワキ毛を剃っていないことに気付く。また、この大会はルーマニアを除き東側諸国がボイコットをしたため、「片肺五輪」と呼ばれた。今考えれば問題視されそうな表現である。さらには、陸上で黒人選手が軒並金メダルを取ったことを受け、「ブラック・パワー」などとアサヒグラフには書かれていた。

4年に1回、なんとなく当時の世相と合わせて思い出すことのできるオリンピック。私がこれまでで一番好きだったシーンは、2012年ロンドン大会の時のポール・マッカートニーが歌った『Hey Jude』。いやぁ、世界的知名度を持つエンターテイナーを抱える国は強いわ、と思わされたものだ。


文◎中川淳一郎

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