プチ鹿島の「余計な下世話」

安倍首相の憲法解釈にブラック説浮上!? プチ鹿島の『余計な下世話!』vol.43

2014年05月13日 ブラック プチ鹿島 安倍首相 改憲 立憲主義

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Photo by 自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!/小林節


 その昔、二出川延明というプロ野球の審判が微妙な判定にクレームをつけられたとき「俺がルールブックだ!」と叫んだ。伝説の言葉である。

 今年の2月、安倍首相が集団的自衛権の憲法解釈をめぐり「最高責任者は私だ」と発言した。これは安倍版「俺がルールブックだ!」宣言である。

 安倍首相が二出川審判とちがうのは、宣言したとたんにクレームの嵐となったことだ。連日「首相、立憲主義を否定」と報道された。

「立憲主義」という言葉がこんなに話題になる前の昨年、私は司会を任されたイベントで小林節・慶応大教授に「立憲主義って何ですか」とたまたま聞いていた。アホ丸出しの質問だったが、話は意外な方向にいった。

 この小林教授は改憲派。でも興味深いのは「だからこそ自民党の改正草案はダメ」という立場の人だった。最近も「私は96条改正の動きを『裏口入学』と批判したが、解釈変更はよりひどい『権力による憲法泥棒』だと感じている」と発言している。

 教授曰く「憲法は国民が国を縛る道具」であって「国が国民を縛る道具」にしてはいけない。それが立憲主義。

 昨年のイベントで印象的だったのが次の話だ。

 小林教授が自民党の二世・三世議員と憲法論議をした際、「何で国民が国や公務員を縛るの?」的な質問や意見が多かったらしいのだ。この「素朴な質問」に面喰ったという。

 二世・三世議員には苦労を知らないボンボンが多いから「庶民の側」があまりわからないのではないか? と教授は思ったという。自然に上から目線になってしまうから立憲主義にピンとこないのでは? と。教授はその現実に驚いたと言っていた。

 私が「つまり会社で言えば経営者側の気持ちしかわからない?」と言うと、会場の観客から「ブラック企業もそんな感じです」という声が出た。

 まさかの「自民党改正草案=ブラック憲法」説である。

 自民党のブラックとは「ワタミ」元会長議員や「石破さんの選挙期間中の日焼け顔」だけではなかったのだ。

 もちろん、教授によれば自民党にも上から目線ではない人たちもいるし、民主党も政権を取った途端、あれだけ言っていた憲法論議をすんなり引っ込めた罪は重いと言っていた。

 それにしても「憲法」というお題きっかけで、二世・三世議員の浮世離れ感を聞けたのだ。そのあとに聞いた安倍首相の憲法解釈「最高責任者は私だ」発言。これは「俺がルールブックだ」という強気と信条からくるものではなく、安倍さんの「ボンボンぶりがバレてしまった説」という「解釈変更」を私はとりたい。

【前回記事】
アントニオ猪木議員「北朝鮮訪問NG」の気になる裏事情...プチ鹿島の『余計な下世話!』vol.42

Written by プチ鹿島

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プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。ニッポン放送「プチ鹿島と長野美郷 Good Job ニッポン」金曜18:00-20:50 ◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」

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