Photo by 昭和の妖怪 岸信介 (中公文庫)
A「お前、きのう集団的自衛権反対デモに来なかったじゃねえか」
B「ふざけんな、来なかったのはお前だろう」
A「どこで待ってたんだよ」
B「信濃町」
こんにちはプチ鹿島です。安倍首相は祖父・岸信介も安保反対デモがあったから「じいちゃんと同じだ」とうっとりしてるか、ますます燃え上がってるような気がしたのは私だけだろうか。
さて、そんな世の中に対して毎日怒っているタブロイド紙がある。日刊ゲンダイだ。絶対野党なき今、ゲンダイ師匠の熱さは追いかけ甲斐がある。というわけで今年上半期の印象的な見出しをあげていきたい。
まずゲンダイ師匠が熱かったのが2月の都知事選。
・「安倍首相は国民から嫌われている。浮かれ安倍政権は終わりだ。エヘラエヘラいい気になっているそのオメデタサが命取りになった愚の骨頂」
・「有権者よ、夢から目覚めさせてやろうではないか。」(1月23日付)
細川氏を当選させることで安倍政権にダメージを与えるという主張をゲンダイは展開していた。しかし細川陣営の人気がイマイチ上がってこない。
・「とうてい信じられない舛添圧勝世論調査」「ニコニコ動画ではほぼ互角」(1月24日)
イライラしたゲンダイ師匠は遂に2月3日に爆発する。
「この都知事選は、東京だけの問題ではない。メディアは候補者の個別の政策を比較したりしているが、そんなものは焦点でも何でもない。安倍政権の暴走を黙認し、世界で孤立する日本になってもいいのか。投票の基準は、その一点に尽きる。」
上半期屈指の怒り、「そんなものは焦点でも何でもない」。
同じく2月のソチ五輪も叱っていた。スノーボードを一喝。
・「ガキの遊びが五輪競技になったワケ」(2月8日)
《どう見たって公園でガキたちが楽しむスケートボードの「雪上版」に過ぎない。走破タイムも一切関係ないから緊張感もまるでなし。》
真骨頂はこの数日後、スノーボード・ハーフパイプで平野歩夢が銀メダル、平岡卓が銅メダルを獲得すると次の見出し。
・「"ガキの遊び"健闘 15歳と18歳が日本初メダル」(2月13日)
記事の締めに注目だ。
《かつて『遊び人風情の若者がクルクル回っているだけ。およそアスリートとは言えない。単なるガキの遊び』とボロクソに言われた時代があったが、ひのき舞台でのダブルメダル獲得は大健闘と言っていい。》
「ガキの遊び」とボロクソに言ってたのは数日前のゲンダイ師匠です!
しかしそんなゲンダイも男子フィギュアスケートの羽生結弦が金メダル当確の演技を見せたときの見出しがこれ。
「本紙もケチつけられず」(2月15日)
師匠、最高です。さて、現在のゲンダイ師匠が熱心に追っているのが「パソナ」だ。きっかけはASKA事件。
ASKAのことを「シャブ&ASKA(本名・宮崎重明)」とからかいではなく、正式な肩書として報道していた(5月26日付け)が、徐々に興味をASKAとも関係が深かったパソナに移行。
「やっぱり利益誘導じゃないか パソナが喜ぶメニューが並んだ新成長戦略」(6月26日)として、安倍政権&竹中平蔵に再びターゲットをしぼっている。
ここらへん、どんどんやればいいと思うが、あくまできっかけは「ASKAメロメロ パソナ美女軍団」のような下世話な興味だったことに注目したい。
オヤジジャーナルの欲望とリアルな視線が同時進行で楽しめた上半期だった。
【前回記事】
セクハラやじ、次世代の党、伸晃失言...石原慎太郎的なものを考える プチ鹿島の『余計な下世話!』vol.50
Written by プチ鹿島
プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」
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