プチ鹿島の「余計な下世話」

有馬記念でJRA功労者「健さん」馬券来るか!? プチ鹿島の『余計な下世話!』vol.72

2014年12月02日 JRA プチ鹿島 競馬 都市伝説 高倉健

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 先日このコラムで《競馬界に伝説のミラクルおじさん再び!? 》(10月28日)を書いたら好評だったのですが、今回は正真正銘の都市伝説について書いてみたい。「高倉健とJRA」である。

 JRAのCMの中でも名作と言われているのが1993年に高倉健と裕木奈江が出演したシリーズだ。記憶に残っている方も多いと思う。

 私は当時大学生で日曜日は百貨店でバイトをしていたのだが、午後になると売り場の社員さんたちに頼まれて馬券を買いに行っていた。それが重要な仕事だった(もう時効だ)。それまで競馬にはまったく興味もない私だったが、そうなるとついでに自分も何か買いたい。でも知識がない。そんなとき「JRAのCMに勝ち馬のサインが出ているんだよ」と私に吹き込む百貨店の社員がいたのである。

 もう古典に近いこの都市伝説だが、ワクワクした私は「半信半疑」でさっそく試しにCMを見てみた。

 すると「菊花賞」というレースのCMで、高倉健がカラオケボックスのステージで唄っていた。出馬表を見たら「ステージチャンプ」という馬が出ていた。この馬から適当に買った。そしたら9番人気にもかかわらず結果は2着。的中してしまった。

 衝撃は次週の「エリザベス女王杯」だ。高倉健がコロッケを買おうと店先でおばちゃんと話している。メニュー表が一瞬映る。肉眼ではわからないがコマ送りで再生して見たら「~フライ」という文字があった。コロッケだからフライなの? と出馬表を見てみると「ノースフライト」という馬が。ここから買ってみた。5番人気のノースフライトは2着に飛び込んできた。1着の馬も大穴で馬連は大荒れで250倍ついた。この話、トークライブで話したら爆笑だったけど実際にそのCMの場面を見せたらお客さんは声を失っていた。

 そして年末の有馬記念。CMは高倉健が裕木奈江と話している。娘が自立して家を出るのだ。CMもラストだけに感動的な内容。そして最後に健さんが叫ぶ。

 「競馬場で会おう」。

《競馬場で会う→競馬場で久しぶりに再会する→感動のラスト》。私はそう予想した。出馬表を見ると「トウカイテイオー」という馬が出ていた。この馬、調べてみると1年前の有馬記念に1番人気で惨敗してレース中に骨折、休養していた。1年ぶりに出走してきたのだ。迷わず買った。テイオーと「競馬場で会おう」と。競馬に詳しい人には「1年ブランクの馬が勝負になることはありえない」と言われた。論外だと。実際、人気も落ちていた。

 しかしテイオーは来たのだ。1着で。実況アナも感動して声が裏返った。私もなんだか熱くなった。そしてつぶやいたのだ。「おかえり、テイオー」。健さんの言うとおり競馬場で会えた。

 去年トークライブでこの話をしたら爆笑だったけど実際にそのレースビデオを見せたらお客さんは感動していた。今でも「感動」「伝説」のレースというとこの年の有馬記念を挙げる人は多い。

 誤解のないよう言っておくと「競馬はJRAによって仕組まれている」という野暮なことを言っているのではない。楽しみ方のアプローチはいくつもある、ということである。データ、血統、時計、パドック、果てはこのようなこじつけやゴロ合わせ、それぞれの予想でその人が楽しんでいればそれが正解なのである。しかも劇的な偶然は本当にたまにある。

 私に想像する楽しみのひとつを教えてくれた、あの偉大なJRAのCMシリーズの主役であった高倉健さんが先日亡くなった。

 密かに思う。競馬界にとっても大功労者である健さんを偲ぶレースがあるのではないかと。国民的なスターの健さんだ。だったら「高倉健馬券」はやはり年末最後のビッグレース「有馬記念」ではないか。

 こういうときはひねらずにベタな予想でいい。高倉健さんの映画には素晴らしい作品が多いが、ここで浮かぶのは「幸福の黄色いハンカチ」である。今年の有馬記念は「黄色い枠」が来るのではないだろうか。競馬で黄色い帽子の枠は「5枠」である。今年の有馬は健さんを偲んで5枠から買ってみるか。

 信じるか信じないかは、あなた次第。

Written by プチ鹿島

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