最近気になるのは中国のネットがらみのニュースです。
先日のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の関連行事でおこなわれた花火大会で、ロシアのプーチン大統領が隣に座った中国の習近平国家主席の妻の肩にショールをかけた、という話題があった。
中国版のツイッター(ウェイボー)でもさっそく盛り上がったらしいのだが、そのあと当局からの検閲があったというのだ。
《ところが翌朝までには、検索してもコメントはほとんど表示されなくなり、リンクもつながらなくなった。ユーザーは、中国政府のインターネット監視当局が不適切と判断して削除したとみている。》(CNN・11月12日)
「中国・ネット」関連ではこんな話題もあった。
7月に北京に巨大なヒキガエルのオブジェが設置されると、このカエルが江沢民元国家主席と似ているとして中国版ツイッター等で大盛り上がりになった。
その結果、
《政府当局が規制に乗りだし、「ヒキガエル」がウェイボー上の検閲単語の上位に入る騒ぎにまで発展した。》(CNN・11月3日)
権力者を嘲笑する比喩は、北朝鮮で「体制を称賛する歌を国民に歌わせていたら、替え歌事件が起きた」というニュースがあったが、やはりというべきか、中国でも当然「健全な冗談」は活発化している。
となると、なぜプーチンが習近平の奥さんに優しくふるまった映像を中国当局が削除したのかも想像できる。プーチンが中国のツイッターで大人気になったかわりに「それに引きかえウチのおっさんは......」という茶々で盛り上がったのだろう。そんな「ネット民」の盛り上がりを見て、ロシアに対する中国当局のやっかみや不安もあったのかもしれない。
「ヒキガエル」検索NGでもそうだが、ひとつNGをつくってしまうと些細なことでも気になってしまう皮肉な悪循環になる。中国も大変だ。
さて、そんな国家のあたふたぶりをよそに中国版ツイッターではこんな人物も登場していた。
「"SEXヒッチハイク"で、中国を旅行している女の子が話題になっている。この娘は、ジュペン(Ju Peng)ちゃん、19歳。上海出身で、スタイル抜群の美人だ。」(日刊ゲンダイ・11月9日)
彼女は中国版ツイッターに「旅先で、滞在費や交通費を提供してくれる、気前のよい"短期間の恋人"を募集してます。一緒にいる間は、昼も夜も、私を独り占めできて、友だちにも見せびらかせます」と載せていて、「売春ではないか?」という論議も含めて大きな話題になっているという。
「日刊ゲンダイ」は「いずれ日本にも来るかも。 」と書いて記事を締めた。気のせいかニヤニヤしている様子が行間から勝手に浮かぶ。
日本はネットで盛り上がる前に新聞がきちんと下世話なことを取り上げ、盛り上げている。素晴らしい風通しの良さではないか。妙に安心しました。
Written by プチ鹿島
Photo by "滕"
プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」
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