先週2時間の漫談ライブをやったのですが、そのなかで「政治家の新ニックネームを考える」というのを勝手に発表しました。鳩山由紀夫は「平成の風船おじさん」(フラフラ飛んでゆくから)、安倍首相は「じっちゃんの名にかけて」(いつも心に岸信介)、そしてプーチンは「あばれる君」にした。
リアル・あばれる君だと思うのです、プーチン・ロシア大統領は。たとえば昨年「プーチンが放した虎 ヤギ襲う」という話題があった。ロシアで保護された幼い虎が訓練を受け成長し、プーチンの手で野生に放たれた。虎はそのまま中国へ越境してヤギの群れを襲った。ウクライナ問題と併せて考えると「飼い主に似る」という言葉を思いだす結末だった。
しかしこの話はどこか面白く感じてしまうのがポイント。それは「プーチン=強さ」のイメージが付随して思い浮かぶからだ。休暇先で「バタフライを披露するプーチン」というのも豪快だった。もっともわかりやすい強さの話題は「プーチンは空手8段、柔道5段、テコンドーは9段」だろう。
《ロシアのメディアでは、シャツを着ずに馬に乗って筋肉質の肉体をさらけだしたり、麻酔で眠っている野生のトラのそばにいる写真などを公表している。》(CNN・2014.11.23 )
とにかく強さをアピールしたいプーチン。そのアピールの度が強すぎて笑える瞬間があったのだ。しかし最近は笑えなくなってきた。
先日放送されたテレビ番組でプーチンは、クリミア併合時に「核の用意もあった」と発言した。失言ではない。わざわざ収録して放送したので世界に聞いてほしい発言だった。この強さアピールは怖い。
ブラフ(脅し)だけならまだしも、先月末にはプーチンを批判してきた野党指導者ボリス・ネムツォフが射殺された。数日後にはプーチンの対ウクライナ政策を批判する集会が開かれるはずだった。しかし逮捕された容疑者は「チェチェン共和国の分離独立を求めるイスラム過激派だった」......。なんか釈然としない流れ。そういえば2006年に「反・プーチン」女性記者アンナ・ポリトコフスカヤ氏が暗殺された時もチェチェン人が逮捕された。勝手ながらザワザワします。
ここ最近のプーチンを見ると、その「強さアピール」にのん気に笑ってる場合ではなかった。よく考えたら今までも十分どす黒かった。そんなプーチンの支持率は80%を超える。
「本当は怖いプーチン」、いや「本当に怖いプーチン」でした。
Written by プチ鹿島
Photo by Youtubeより
プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」
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