先週25日におこなわれた自民党「文化芸術懇話会」。「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番。経団連などに働きかけしてほしい」(大西英男・衆院議員)とか、「沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん。」(百田尚樹・殉愛)という一連の発言に対し世の中が騒然となっていますが、私はこの騒動を「9月におこなわれる自民党総裁選がもしかしたら盛り上がるのではないか?」という視点で注目したい。
なんでもそうだが、「一強」だけより「対抗」もあったほうが見ていて面白いからだ。そういう意味で目を凝らしていると、「安倍一強」に対する小さな動きは昨年夏ごろにまずあった。
昨年9月に《最近のオヤジジャーナルを見ていると、じつは「死んだはず」の自民党大御所OBたちがうごめきはじめていることがわかる。》とし、野中広務や青木幹雄、古賀誠ら自民党OBがゾンビのごとくうごめき出してきたことを私は書いた。
※参考記事:ケンカ下手な石破茂には「妖怪ウォッチ」が足りない!? プチ鹿島の『余計な下世話!』
「政策より政局」「敵の敵は味方」という彼らは、まさしく旧時代の政治家である。こういう人物たちを、たとえば内閣改造に不満を抱いていた石破茂あたりが利用するぐらいの「寝技」ができるのか、と注目した。しかし何も起きず。
でもまた最近OBじいさん達が活発になってきたのだ。たとえば今月中旬には山崎拓氏、亀井静香氏らベテランが記者会見し、安全保障関連法案に反対の声を上げた。山崎氏は「上を見ているヒラメばかり。安倍政権の権力にひれ伏している」として古巣の現状を憂えた(朝日新聞)。
OBじいさんが目立つのは、今の自民党で「対・安倍」を鮮明にできる現役がいないという証明でもある。以前は派閥が野党の代わりに機能して緊張感を保っていた面もあったのに、今はオール右へならへ。「文化芸術懇話会」も見逃せないが、私がもっと問題だと思うのは次の二点。
一点目は、「文化芸術懇話会」と同じ日におこなわれる予定だった勉強会「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」(ゲスト・小林よしのり)が中止になったこと。いわゆるリベラル派が開催する予定だった。二点目は、26日深夜の「朝まで生テレビ!」の出演を自民党議員がドタキャンしたこと。
二点とも自民党本部の意向だという。「開催するな、出るな」と言うほうも酷いが、あっさり中止&ドタキャンするほうもだらしない。結果的に長老OBだけの元気の良さだけが目立つのである。
しかし、今回の「文化芸術懇話会」のインパクトが安倍政権と世に与えたものは大きい。潮目が変わってきた気もする。「じいさん」たちはこれから張り切って暗躍したいはずだ。そこで、じいさん達に担がれそうな現役組はいるのか。じいさんたちを利用しようという狡猾な野心家はいるのか?ここが注目点だと思うのです。
今国会の会期が9月27日まで大幅延長されたことで自民党総裁選は安倍首相の無投票3選になるとの見方も出てきたが、野次馬の「観戦」も面白くしてほしい。
Written by プチ鹿島
Photo by 大西英男・衆院議員公式ホームページより
プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」
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