人気ラーメン店「大勝軒」の互助組織「大勝軒のれん会」が分裂というニュースが気になります。報道によれば「のれん会」を脱会した弟子ら31人は「2代目からひどい仕打ちを受けた」と言って、新しい組織を立ち上げたそう。大勝軒といえばのれん分けが多いイメージがあるが、組織が大きくなると必然の問題なのだろうか。
ちなみに以前「関東連合:六本木アウトローの正体」(久田将義・著)を読んだら、関東連合だけでなく「関東連合系」まで丁寧に書いていたのだけど、その発展・分派していく様子は「横浜家系ラーメン」を想起させた。ラーメン業界は、ニッポンの組織を象徴する業界なのかもしれない。
今年は大勝軒だけでなく山口組も維新の党も分裂した。「分裂」は2015年のキーワードのひとつか。そういえば橋下徹氏はどことなく、一代で成功した若手ラーメン屋の店主っぽい雰囲気がある。斬新さやこだわりの態度、漂う頑固さ。それでいてメディアをうまく使う点などはニューウエーブ・ラーメン屋っぽい。そして「維新」の看板をめぐる元祖と本家のような争い。伝統的で下世話な展開も踏襲している。新党「おおさか維新の会」というネーミングは、全国チェーンを目指すなら「おおさか」という平仮名のほうがあっているという経営判断もみえる。
●ラーメンと政治
小渕恵三は中選挙区時代に中曽根康弘、福田赳夫といった首相経験者の超大物と長年争い、「ビルの谷間のラーメン屋」と自ら名乗った。中曽根、福田が全国展開している有名店なら、自分は地元でしか食べられないラーメン屋をあえて名乗るしたたかさも感じた。最後はしっかりと小渕もラーメン屋から首相になった。したたかだ(首相になったとたんラーメンではなく「冷えたピザ」と例えられたが)。
現在の自民党一強と呼ばれる状況は「こってり系」が独占しているとも言えまいか。安保法制をめぐる「解釈改憲」は化学調味料を使いすぎた。以前の自民党には主流派に対抗して違う味を主張する一派も必ずいたのだが、こってり一色になった。この「ブーム」はどこまで続く?
●多くの政治家が刺激的な味付けとスローガンに走る
そうえいえば昨日入った地方のラーメン屋は地元紙のインタビューに「テレビなどでは『こだわりの味』と言いますが、こだわりはお客さんが持つもの。料理人は能書きではなく誠心があればいい」と答えていた。そのラーメンはシンプルだった。奇をてらっていなかった。ラーメン屋も政治家もこういうほうがもう珍しい!?
Written by プチ鹿島
Photo by 大勝軒公式サイトより
プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」
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