今年1月のSMAP解散報道のとき、スポーツ新聞を読み比べたらとても面白かった。情報戦がおこなわれているのではないか? という前提で読むといろいろみえてくることがあったからだ。
あのとき「スポーツ紙は事務所の言いなりではないか」「いいように使われている」という批判の声もあった。でも思うのです。だからこそ、紙面から不自然に浮かんでくる強い表現をみつけたら、それは注意深く読んでいる者に対しての「ご褒美」ではないか? と。「発表報道」だからこそ、逆に本音がみえてしまうときがあった。
1月の報道で目立ったのはスポーツニッポン。「誰かが言いたいこと」と思える行間がチラチラあった。
『SMAP女性マネ 独立クーデター失敗』(1月14日)
『一刻も早くメリー副社長に直接謝罪するしかない。それがグループ存続への一歩になる。』 (1月18日)
『歴史的背景に基づく思いから退社を選ぶ者と、人としての筋道を重視して残る者。』(1月13日)
こうして並べてみると、スポニチは事務所の広報担当とは別に、事務所の中の人をおさえているのでは? とも想像できた。"新聞の読み方"を楽しませてくれたのである。
というのも、離脱派に対して厳しい論調のほかにこんな「提案」もあったからだ。
『SMAP分裂回避の鍵は世界に一つだけの"絆"』(1月13日)
『事態を打開するのはファンや世間の声かもしれない。』(1月14日)
この時点で事態は膠着したまま。ここで起爆剤になりそうなのは世論である。解散しないで、という世の中の熱い声が必要。それを記事で問うたのだ。このあとCDの購買運動など国民的な動きになったのは記憶に新しい。
では、今回の「SMAP解散」発表を受けて、スポーツ新聞を読み比べてみよう。解散は決定事項なので、現在のひとつの焦点は「紅白」問題である。今年の12月31日で解散なのだから紅白がラストなのでは? と誰でも思う。
『紅白がSMAP最後の活動の場になる可能性が高い』(日刊スポーツ・8月14日)
『SMAP ラストは紅白 ファンが国民が見届けたい!!』(サンケイスポーツ・8月15日)
しかし、スポニチは『紅白「100%ない」』(8月14日)と報じた。
事務所関係者の「最後に出場できればと思う」というコメントを紹介する一方、「それが検討できるぐらいなら、ファンのために25周年ライブはやらなきゃならない」というテレビ関係者の声を載せている。事務所もSMAPには紅白に出てほしいというのがわかった。そして記事の最後。
『日本中のファンからもそれを求める声が集まりそうだ。少なからず事態が動く可能性はある。』
つまり、またしてもSMAPを説得するのは「国民の声」次第だと匂わせているのだ。
スポーツ新聞を読むのは面白い。
Written by プチ鹿島
Photo by kulimpapat
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