シリーズ特集「ネットウヨク論」第1回:インターネットで情報収集する際の基礎知識「確証バイアスに陥るな、ネット上の情報はまず疑え」

2013年07月19日 インターネット ネットウヨク 特集

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 利用手段がPC接続のみに限定されていた90年代後半~2000年代初頭までは、利用者は多く見積もっても数十万人規模と言われていた日本のインターネット事情だが、今ではネット環境が飛躍的に発達し、PC以外にもスマホ・タブレット端末・ゲームハード......と、老若男女が屋内外を問わずネットに接続できるようになり、1億総インターネット利用者といった様相を呈してきた。

 また情報を得る場所も、大手メディアのニュース以外に、個人ブログや、個人対個人で繋がれる各種SNS(Twitterやfacebookなど)、ニコニコ・Ustといった他者とコミュニケーションを取れる動画サイトなど様々である。

 こうした背景が手伝って、現在では小学校入学前の子供がスマホでインターネットを見る時代が到来したのだが、その反面でネット利用に関する注意喚起が全く行き届いておらず、ネットをキッカケにした事件や社会問題が増加の一途を辿るばかりだ。

 今回、日刊ナックルズのスタートに伴い、身分不相応にも「ネットウヨク問題について書いて欲しい」と依頼を頂いたのだが、"ネットウヨク問題とは?"を説明するには、あらゆる角度からインターネット利用の注意点を挙げていかねばならない。ネットウヨク問題がいかなるものか理解して頂くには「ネットとは何か?」「ネットの問題点とは?」といったテーマから説明する必要があるからだ。

 さて、ネットウヨクを理解するために最低限必要な事前情報として、まずは表題にある通り「インターネットで情報収集する際の基礎知識」について述べようと思う。

1・確証バイアスに陥るな

 "確証バイアス"とは、自分の願望・欲求に対して都合の良い情報だけを見聞きし、自説を補強しようとする行為である。ようは都合の悪い情報に対して「ワーワー聞こえな~い」とやるのが確証バイアスだと思っていい。強引にネットウヨク問題に絡めるならば、朝鮮・韓国人を悪く言う情報を裏取りもせず盲信し、逆に日本人にとって都合の悪い情報を発信する人物やメディアを「売国奴!成りすまし朝鮮人!」と罵るといった、ネットでよく見る光景がまさにそれである。

 この確証バイアスの何が問題なのかというと、ひとつに"バカになる"という点が挙げられる。自分にとって気持ちのいい情報だけ受け入れ、少しでも反する意見に対して徒党を組んで石を投げて鬱憤晴らしをするといった行為を繰り返していると、思考力の低下は避けられない。

 さらに問題なのが"敵に塩を送ってしまう"という事だ。出処の不確かな情報は信頼性が低くて当然である。信頼性の低い情報は誤りである可能性が高くて当たり前だ。ではこうした情報が誤りと知らずにネットウヨク団体(例えば在特会)のように町中で喚き散らしたり、役所や企業に突撃を仕掛けたらどうなるだろう?

 これは現在ネットウヨク団体らがどのような状況にあるか考えてみれば一目瞭然だろう。彼らの言動のせいで迷惑を被った人間達が次々に訴えてみると、根拠足り得るまともな情報がないせいで裁判に負け続け、何件も賠償金の支払いを命じられた。そして攻撃対象にされた団体・企業らは、身の潔白を裁判所で証明できたばかりか、被害者として世間の同情まで集められ、ネットウヨク団体が期待した結果とは全く逆の効果が現れてしまったのである。これが「誤った情報を元に行動すると敵に塩を送る」という好例だ。

2・ネット上の情報はまず疑え

 ネット上にアップされている情報は、全てどこかの誰かが何らかの思惑を秘めて公開したものである。"個人の晩御飯"や"近所のワンちゃん"といった毒のない情報ならば、リスクは無いに等しいのでそのまま受け止めれば良いが、これが政治・国際情勢・宗教・株価といったテーマになってくると注意が必要である。そうした情報を流す事で利益を得られる人間が存在するからだ。

 例えば、ネットウヨクが憎んで止まない韓国について、信ぴょう性のあるなしに関わらず罵詈雑言をぶつけているサイトがあったとする。韓国が嫌いで嫌いで仕方ない人間がそのサイトに食いつき、勢い余って「活動を応援します!」なんて言いつつカンパしちゃったりして、何かの拍子に管理人の正体が明らかになってみたら「新興宗教でした!」もしくは「北朝鮮工作員でした!」なんてオチになったら笑うに笑えない。

 そんな例は極論としても、ネットに情報をアップするにはそれなりの作業(=労力)が必要だという事を忘れてはならない。誰かにとって、そんな労力を払ってまで、その情報をアップする必要があったから、その情報はネットに存在している のである。

 ではネットの情報をどう見ればいいのかと言うと、まず情報ソースとして信用できるかどうかをチェックするのが第一だ。いくらメディア不信が叫ばれる世の中とはいえ、氏素性の知れぬ個人が発信する情報よりも、(方針が解りやすい分だけ)大手メディアの報じる情報の方がマシである。個人によって発信された情報の場合は、その個人が過去に何をした人物か可能な限り調べてみる事をオススメする。

 次に「その情報に対して反対意見がないかどうか探す」という工程が必須である。ライター稼業を始めるにあたり、まず先輩に叩き込まれる基礎中の基礎に"両論併記"という概念があるのだが、これを自分の頭の中で行い、どちらの意見がより真っ当か、もしくは両論を照らし合わせた結果としてどの辺りが落とし所になるかを考えねばならない。これができるかできないかで、ネットの情報を安全に取捨選択できるかどうかが決まると言っていい。

 こうした工程を経て初めてその情報の受け入れ作業が済むのであり、受け入れ作業が終わった次の段階として「ではその情報に対して自分はどう動くか?(→信じるのか、Twitterなどで拡散を手伝うのか、反対意見を唱えるのか等など)」というフェイズに移れるのである。

 SNSでよく見かける「見出しだけを見て感化されて脊髄反射的に情報拡散を手伝う」といった行為は、どこかの誰かの思惑に乗っているだけになる可能性が高いので、リツイートボタンを押す前に、いいねボタンを押す前に、まずは上にあるような工程を可能な限りでいいので実践してみよう。

 今のご時世、暴力団や宗教家も当たり前のようにインターネットを利用しているのだから、「いつ何時どんな情報がキッカケで面倒事に巻き込まれるか解ったもんじゃない」という事だけは頭に叩き込んでおく必要がある。そうした危険から身を守るためにも、ネットの情報なんか片っ端から疑うくらいで丁度いいのだ。

Written by 荒井禎雄

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