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森功『大阪府警暴力団担当刑事「祝井十吾」の事件簿』(講談社)読了。「紳助、よう言うわ。認めるんなら、もっと正直に話さんかい」「強面刑事たちが記録しつづけた芸能界、格闘技界、財界の闇社会との接点。そのすべてを白日の下に晒すノンフィクション!」という帯文だけでも確実に面白いと確信できる本なんですが、この「格闘技界」というのがボクシングのことだけだったからガッカリ。こっちが知りたいのはK-1やPRIDEやLEGENDや大晦日興行にまつわる闇社会のバトルなのに! あと、島田紳助と渡辺二郎との関係についても深く掘り下げていたんですけど、ボクが渡辺二郎を取材したとき印象的だったのは、対談相手の渡嘉敷勝男が学生時代の喧嘩の話とかを面白おかしく語った後、昔から悪かったことで有名な渡辺二郎が「ボクは真面目にボクシングやってたんで、喧嘩とかは全然やらなかった」と断言していたこと。こういう場で喧嘩の話を出来る人は現時点でそれを話しても洒落になる人ってことであり、いまそういうことを話すと洒落にならない人は何も言えなくなるんだろうな、と。
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Written by 吉田豪
Photo by 大阪府警暴力団担当刑事――「祝井十吾」の事件簿/講談社
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