読売テレビ『そこまで言って委員会NP』で、津川雅彦氏が「保育園落ちた日本死ね」の匿名ブログ主に対して、「『死ね』って言葉は許せないでしょう? 書いた人間が●●ばいいよ」と言い放ったことで話題になってるんですが、実兄の長門裕之を何度も取材した人間として、生前の彼が津川雅彦のことをどう言っていたのかをここにまとめてみようかと思います。
ボクが「共産党ともつながりがあった長門さんからしたら、弟の津川さんがだんだん右傾化してきてるのはどういうふうに思ってます?」と質問したとき、長門さんはこう言ってたんですよ。
「でもね、あいつはもともと保守的ってわけでもなんでもないの(あっさりと)。映画『プライド・運命の瞬間』(98年)で東条英機を演じるために勉強してハマっちゃったんだけど、アホかって。『プライド』っていう映画を僕は役者として観て、ホントに彼がここまできたのかっていう感動で何時間しゃべったかな? 雅彦とずっとしゃべったら、そのしゃべりかたも全部東條さんでね。役者ってそうなの。それほど思想的な根拠があるわけじゃないんだよ。とにかくもういい加減なもんなんですよ、役者って」
「雅彦は、そのとき一番狙われやすいってことでSPもつけてたんですよ。そういう巻き添えを食っちゃうとバカバカしいんでね。ホントのボディガード2人ばかりついて、大変だったんですよ。『プライド』の話を俺にしてるときも、ずっとボディガードが背中向けてずっと立っててね。雰囲気的にちょっと違うなって思ったもんね。東條さんを演じるってことは、役者にとっては大変光栄なことなんだろうけど。だからといってそれで命まで狙われるのもよくわからないよね。何を考えてるんだか」
つまり、東條英機を演じたことで単に東條英機モードになっただけのことだと断言。長門さんが亡くなった直後、津川さんをインタビューしたら、「兄貴は嘘が多いの」と全面否定されちゃったわけですよ。
もともと役者になるつもりもなく、「社会に対して不満を感じたり憤ったり皮肉を言ったりするジャーナリストになりたかった」とのことで、その姿勢でブログや番組で好きなことを言ってるだけだ、と。
そして、長門さんに対してはこう言い返したわけです。
「昔、左翼であらずば芸能人にあらず、みたいな頃があって。そしたら兄貴までが、『おい雅彦、これからは社会党やで』って言ったわけ。カチンときたから、『兄貴、社会党に1票入れてる男だということが発覚するとNHKが使わなくなるそうだよ』って言ったら、その次から自民党に投票してたよ(笑)。こないだも『兄貴、選挙は誰に入れた?』って聞いたら『蓮舫に入れた』って言うから、『まだやってんの、そういうこと!』『いや、あいつ可愛いだろ』『そういうことじゃない!』って言って(笑)」
長門さんのこのデタラメな感じも最高すぎる! そして津川さんは、こんなことも言ってました。
「俺が何を言ったって世の中は改革できるもんじゃないのよ。先は見えてるの、挫折が。特にこういうところでものを言うと、結局は反発が来る。大衆を相手にしてる映画人が、じつはあんまりきわどいことを言ったら反発を食うだけで。それを見極めたとき、じゃあ俺は悪役で生きようと思って。『こいつ、嫌なヤツだけど悪役をやるのはいいね』と感情移入をしてもらえるようにしていこう、と。だから、悪役やってる限りは好感を持たれるの(笑)」
そんな覚悟の上で、あえてキツいことを言ってるってことだったんですが、生前の長門さんは「2ちゃんねるで雅彦に関することを全部読んだんだけど、あいつは評判悪いね(笑)。『死ね! 死ね!』って。その反動で僕はものすごく評判いいんだよ」と呑気に言ってて爆笑しました!
Written by 吉田豪
Photo by 「津川雅彦物語」カツドウ屋血族
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