北関東の農村地帯に「外国人収容所」があるのをご存じでしょうか。
その名は東日本入国管理センター。茨城県牛久市にあることから「牛久入管」とも呼ばれます。
不法滞在で捕まった外国人は、入国管理局で取り調べを受けたのち、収容されます。その収容先の1つが牛久入管です。農村の雑木林の中にひっそりと佇む同施設は、一部の外国人からは「日本のアウシュビッツ」と恐れられています。
収容定員700人の牛久入管には常時400~500人の外国人が収容されています。オーバーステイで捕まった人、犯罪をおかして在留資格を抹消された人、難民申請をしている人など立場はさまざまですが、「日本から追い出されようとしている」という点においては共通しています。
退去強制令書を出されれば、原則として自費による帰国となりますが、実際には帰国しない(できない)人も多く、収容所はそんな外国人であふれています。
日本は難民条約に加盟してはいますが、実際には難民の受入れに消極的です。
2017年の難民申請数は1万9628人。そのうち難民と認定されたのは、わずか20人(法務省発表)。日本が事実上、難民を拒否しているのは明らかです。
たとえ「仮放免」されても、就労が禁じられているため、結局、不法に職を得て生計を立てざるを得ないのが現実です。仮放免の外国人は健康保険にも入れず、生活保護も受けられません。入管行政の閉鎖性が、不法外国人を生み出しているともいえます。
一般社会から隔離され、外部の目に触れることのない収容所の内部はどうなっているのでしょう。
収容経験者によると、居室は5人部屋と10人部屋の2種類があり、1人分のスペースは1畳程度。建物内で自由に移動できるのは1日5時間ほど。16時半には部屋に戻らないといけないそう。刑務所よりは恵まれてはいますが、自由を奪われていることに変わりはありません。
これが日本人の本性なのか......?
牛久入管では過去、さまざまな事件が起きています。
2002年には難民申請中のアフガニスタン人6人が硬貨や石鹸を飲みこんで自殺を図り、病院に運ばれました。自殺を図った原因は、仮放免を認めない理由の説明を求めたところ、職員が「元気だから仮放免しない。体を悪くしたら仮放免、もっと悪くしたら難民と認められる可能性もある」と答えたことでした。
2010年には日系ブラジル人と韓国人の男性が相次いで自殺したほか、収容者70人が2週間にわたってハンストを決行。収容期間の長期化や、仮放免に必要な保証金(実質30~60万円)が高いことに対して抗議をしました。
2011年には職員が中国人男性に対し、「外国人をいじめるのが楽しい」と暴言を浴びせたことが発覚。この一件に関しては外国人支援団体が抗議し、入管はその事実を認めて男性に謝罪しました。
2017年にはベトナム人男性が激しい頭痛を訴えるも適切な処置がなされず、くも膜下出血で急死。つい先日(2018年4月)も、仮放免申請を却下されたインド人男性が浴室で首を吊って自殺しました。他にも職員によるセクハラやレイプ疑惑が、市民団体によって国際会議に報告されています。
こうした非人道的な仕打ちの背景には、入管の深い闇があります。それは、途上国から来た外国人に対する「偏見と差別」です。
奴らに人権はない。
これが偏狭な役人たちの本音なのでしょう。(取材・文◎霧山ノボル)
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