日本版バンクシーか!? ステッカーで東電や安倍首相をディスる覆面芸術家「281_Anti nuke」

2013年09月17日 グラフティ 原発

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原宿交差点近くのローソン前。幼い少女が2つの原爆と東電ロゴを捨てている(13年8月)

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ちょうど1ヶ月後の9月の様子。(写真3点A氏提供)

「渋谷で娘そっくりの壁シールを発見。思わずパチリ。政府、大企業、テレビ、原発を信じるな!とのメッセージ。」

 これは水道橋博士による今年2013年8月24日のツイートだ。同時に添付された画像は、渋谷の街頭に貼られた幼女モチーフのステッカーとともに写る水道橋博士のスナップ写真である。このツイートには248ものリツイートがなされ、なかなかの反響といっていいだろう。

 これに似たいくつものパターンのステッカーが東日本大震災以降、渋谷を中心に都内のあちらこちらの街頭に貼られているのをご存知だろうか。最初期にもっとも大量に貼られていたのが、カラフルな雨合羽に長靴を身につけた幼女のデザインだ。

 イラストに添えられた「I hate rain」の文字列には放射能のハザードシンボルも付け加えられている。新しいデザインのものやバージョン違いのものも次々に貼られ、2013年の現在でも街角で見つけることは難しくない。グラフィティウォッチャーA氏は語る。

「反原発の人ですね。とにかく量がハンパなかったから、新しいやつが現れたってある時気付きました。女の子の図柄っていうのも珍しいから目立つし」

 一般に「グラフィティ」といえば、マジックなどによる落書きを差すが、自製のステッカーやポスターを街に貼りまくる行為もグラフィティカルチャーの一部とみなされている。両方を行う者もいれば、いずれか一方のみを行う者もいるとA氏は語る。

 水道橋博士が見つけ、A氏も語る反原発ステッカーこそ、「281_Anti nuke」なる覆面アーティストによる「作品」だ。

「281_Anti nuke」の活動にいち早く注目を寄せたのが海外メディアだったようで、ポップかつ強烈な社会風刺を効かせた作風から「和製バンクシー」との呼び名も囁かれている。バンクシーとはイギリス出身のグラフィティ・アーティストで、ストリートを代表する世界的スターだ。

「281_Anti nuke」の「作品」は幼女モチーフのものだけではない。東電や安倍首相を痛烈に風刺したものも存在する。これらには「REMEMBER 3.11」「Don't trust(信じるな)」「I WANT TAX(税金よこせ)」といったメッセージも記されており、モチーフにされた当の本人が不愉快になることは間違いないシロモノだ。しかもステッカーというにはあまりに大き過ぎるものさえある。

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渋谷パルコ近くにて。誰もがギョッとする特大サイズ(13年4月)

「東電や政治家関係のが出てきたのは正直、シビれました。デカいし、目立つ場所に貼ってるし、あからさまにディスってるし。でも東電や政治家のは速攻で剥がされちゃいますね(笑)。でもこれだけ派手にやり過ぎると目付けられちゃうんじゃないですか」(前述A氏)

「281_Anti nuke」の作品には「281_Anti nuke」と記されていることが多く、彼はツイッターでもこのユーザー名でアカウントを取得し、新作ステッカーなどの紹介もしている。ちなみに水道橋博士のツイートを「281_Anti nuke」本人がリツートしてもいる。

 スプレーの落書きよりは消去するのが比較的容易とはいえ、ステッカーやポスターを街に貼付ける行為は違法行為だ。一方で、ストリートを舞台に反原発のメッセージを発信することに意義があるのもまた事実。元々ストリートカルチャーがはらみ持つ創造力は、常に既に規制の枠組みを軽く凌駕しているのだ。

「反原発」と「違法」について、次の機会では「281_Anti nuke」その人にインタビューを試みようと考えている。(文中一部敬称略)

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Written by おかたけし

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