「JK産業」「JKビジネス」という言葉が最近、メディアを踊っているが、「女子高生」を売りにしたビジネスは以前からあった。愛人バンク、デートクラブ、テレクラ、キャバクラ、出会い系サイト、チャットレディ、撮影会モデル、出会いカフェ、見学店、エステ、リフレ、添い寝、援デリ、お散歩、カフェ......。その存在の是非はともかく、時代によって変化し、規制がされるたびに、新たな形態が生まれていく。
先日、朝日新聞(11月6日)に、JK産業に関する記事が掲載された。そこに <JK(女子高生)産業> の説明が以下のように載っていた。
客が金を払い、制服姿の女子高生に体を触ってもらったりデートしたりする商売。個室サービスの「リフレ」(リフレクソロジーの略)について、警視庁は13年、労働基準法違反容疑で経営者らを逮捕。その後「お散歩」「撮影会」が広がった。14年版の米国務省人身売買報告書は「JKお散歩」を性目的の人身売買の形態の一つとして批判している。
それらしい説明書きだが、「制服姿の女子高生に体を触ってもらったりデートしたりする商売」とあるものの、「制服姿」に限定する理由は何かと勘ぐってしまう。もちろん「制服姿」は記号であり、萌え要素ではあるだろう。しかし、「制服姿」ではないビジネスはたくさんある。リフレの場合は、コスプレだってあるし、キャバクラや援助交際の場合、制服姿の方がむしろ警察に逮捕されるリスクが増す。
また、この説明では、「リフレ」の摘発があったので、「お散歩」や「撮影会」が広がったかのように書かれているが、「散歩」も「撮影会」も以前からあった。特に「撮影会」は女子高生が自らホームページを作ることができるようになった2000年代からあったビジネスだ。実話誌を読んでいる読者ならば、わかると思うが、この説明では事実誤認、もしくは誤解させる内容だ。
さて、先日、歌舞伎町を歩いていると、いつものようにキャッチに声をかけられた。しかし、いつもいつも同じような声かけでつまらないと私は感じている。ただ、そのときは、見た目がサラリーマン風のキャッチだったこともあり、足が止まった。「未成年どうですか?」と聞いてきたが、「18、19歳ってことですか?」と尋ねた。
「そうですが、それだけじゃないです」。ということは、17歳より下がいるということか。つまり、このキャッチの男は「援助交際デリバリー」、いわゆる援デリの業者とつながっているということだろう。
援デリ業者につながるキャッチの場合、声をかけられる場所は歌舞伎町の中だった体験が多い。歌舞伎町一番街から区役所通りの範囲だった。しかし、今回呼び止められた場所は新宿大ガード近辺だった。ということは、いつもとは違う業者なのか?
興味あるそぶりをすると、キャッチの男性が業者を呼ぶ。数分後に来た業者の男もスーツを着たサラリーマン風だ。写真を見せてくれるという。すると業者の男はKindleの中から写真を見せた。以前なら、こうした写真は、ラミネート加工の写真だったりしたが、最近では、スマートフォンやタブレットで見せる人も増えている。
見せてくれた写真18歳以上は5人の写真があったが、17歳以下は3枚しかない。17歳以下のほうが少ないのがリアリティがある。しかも、はっきりとした顔がわかるのは1人だけだ。そして、その顔がわかる17歳を業者は押してきた。
「きょうは平日なので、一晩のお泊まりで、ホテル代込みで5万」と料金を提示した。ホテル代込みで5万というのは高いように感じる。しかし、この値段は相場であるような気もする。以前、16歳で援助交際をしている女の子を取材したとき、処女と偽っての結果だが、2時間で5万円、と言っていた。処女ではないかもしれないが、お泊まりという長時間ならば、リスクを含めれば、相場、あるいはそれよりも安いのかもしれない。そう思った。
それでも渋っていると、「じゃあ、買い取りはどうですか?」と提案してきた。買い取りというのは、3ヶ月で30万円らしい。その子を独占する権利、ということだ。いわば、3ヶ月の愛人契約だ。その間、何度会ってもいい。一回5万とすれば、6回会えば、30万になる。毎日会っても同じ値段だ。しかもそれを証明するためのメンバーズカードがあり、見せてくれた。援デリの買い取り制度、つまり、援デリの愛人バージョンが存在するということなのか。
たしかに一晩で5万円の援デリはありそうだ。過去には女子高生との援助交際で一回5万円というのは、取材済みだ。しかし、確かめるには30万もの高額な資金が必要だが、逮捕リスクが高すぎる。とはいっても、そのシステムが本当に存在するのかは知りたい。また、どうしてその女子高生はその業者で働いているのかが最大の興味だ。
「どうしてこんなことをこの子がやっているのかは、仲良くなって聞いてください」
業者の巧みな話術に乗りそうになりながらも、その晩は歌舞伎町を去った。
Written by 渋井哲也
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