壮絶 「プロレスラー徳光正行」リングに散る 「親父(徳光和夫)には息子は殉死したと伝えてください」


最後は笑顔で答えてくれました

徳光さんは、リング上で力なく崩れ落ちました。バラモンシュウ・バラモンケイを相手にタッグパートナーのロッキー川村のヘルプも虚しく、ジェラルミンケースを頭にぶつけられ、水をかけられ、いいようにやられました。

徳光正行さんはタレントでもありフリーアナウンサーです。徳光和夫さんを父に、ミッツ・マングローブさんを従妹に持つ芸能一家。

徳光正行さんのプロレス好きは有名で、一試合丸々戦うデビュー戦はこれが初めて。場所は東京の新木場1StRing。「池田大輔プロレスデビュー25周年記念興行」。会場は満員370人と発表されました。そのセミファイナルに登場。

僕はプロレスも格闘技も、基本、「リングに上がるだけでリスペクト」です。なまじっかな気持ちでリングに上がる人など出来ません。ましてプロレスは非常に危険な興行です(スポーツでも格闘技でもないのでこういう表現にしました)。「負けたのは当然だけど、よくやったなあ」と素直に感じました。試合を終えたばかりの徳光さんに、リングで戦った感想とリングに上がった動機を聞いてみました。


ジェラルミンケースが徳光さんの頭に直撃

――試合、お疲れ様でした。デビュー戦終わっていかかですか。
「プロレスはナメちゃいけないなと。マットも固いですし技をかける方も命がけだし。食らう方も命がけだし。ウェイトトレーニングはしているんですけど、そんなの何の足しにもならない。ロープは僕は西口プロレスに上がっていたころ固いと思ったことないんですけど、ここのローブは固いですよ。最後にジェラルミンケースでバラモン兄弟にやられたんですけど、これもう、交通事故レベルですね」

――マジすか。交通事故レベルでしたか……。
「今でも首が動かないですよ。レフリーにコールドスプレーをかけられるまで意識飛んでましたね」

――うわ…。何でまたプロレスをやろうと思ったんですか。
「池田大輔さんにお誘い頂いたっていうのもあるんですけど、プロレスや格闘技を見る上で自分が本当にプロレスラーとやって痛みを知らないと。プロレスラーのことを揶揄するような表現をすることもあるかも知れないじゃないですか。そういうのを一切払拭する為にやらきゃいけないなと。まだ身体が動くうちにやって、それで分かったことがいっぱいあった。これからプロレスをまた見る目が変わるかも知れない」


しばらく意識がなかったという

――またやりたいですか?
「やりたいですね(即答)。バラモン兄弟がちょっかい出してきたんでもう一回やってやろうかと」

――お父さん(徳光和夫さん)に一言。
「何にも言っていないんですけど、新聞記事で見たら、息子は殉死したって伝えといてください。ただ明日から実家帰ってご飯作るから待っててって(笑)」

――あと従妹(ミッツ・マングローブさん)にも一言。
「お前の方が体型的にプロレスに向いているんだから。お前が今度リング上がんなさいって(笑)」

――寒い中、有難うございました。


試合直後の徳光さん

徳光さんは「こちらこそ有難うございました」といつものように、礼儀正しく頭を下げられました。ホント、リングに上がっただけでリスペクトです。これは今日、このリングに上がったほかのレスラーに対しても言えることです。いや、今日だけでなくこれからも、今までリングに上がって戦ってきたプロレスラー全てに言えることです。(文◎久田将義 写真◎編集部)