「JKお散歩」が国際問題に!? 米国務省が人身売買と指摘

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 アメリカの国務省は、世界各国の人身売買の実態をまとめた年次報告書を公表、日本については女子高生とデートできる「JKお散歩」も新たな人身売買の例としてあげたという。JK散歩は女子高生と街中でデートをするサービスであるが、なかには児童買春を誘われることもあるからだとしている。JK散歩は「人身売買」なのか?

「人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約」(http://www.jinken.or.jp/daiboken/contents/link/jinshinbaibai.html )では、売春を目的とした就労形態での募集や管理売春、場所提供を禁じている。日本の売春防止法と禁止の範囲が類似している。また18歳未満の児童買春は「児童買春・児童ポルノ処罰法」で禁じられている。さらに2005年の刑法改正で人身売買罪を新設。人を売り買いした場合の罰則を示した。

 人身売買をどのように定義するかでこの問題の認識が変わってくる。年次報告書で(http://www.state.gov/j/tip/rls/tiprpt/countries/2014/226748.htm)はどのように書かれているのか。

 The phenomenon of enjo kosai, also known as “compensated dating,” continues to facilitate the prostitution of Japanese children. In a recent trend called joshi-kosei osanpo, also known as “high school walking,” girls are offered money to accompany men on walks, in cafes, or to hotels, and engage in commercial sex.

 金品を伴うデートとして知られる「援助交際」の現象は、日本の子どもの売春を促進し続ける。高校生と散歩する「女子高生散歩」と呼ばれる最近の傾向では、客の男性からお金をもらって散歩やカフェ、ホテルに誘われます。そして商業的な性行為に従事させられる。

 この報告書の通りだと、JK散歩は児童買春サービスだ。しかし、女子高生がお金をもらって散歩やカフェに誘われたとしても、すべてが売買春ではない。もちろん、大人の客に売買春を誘われるが、拒否している女子高生もいるし、拒否しても雇用主から叱られない。多くの場合は、散歩やお茶、食事、カラオケだけだ。

 たしかに、JK散歩でも女子高生の援助交際でも、カラオケだけ援交や食事だけというのもあるので、そのすべてが「compensated dating」(金品が伴うデート)だと言えなくもない。売買春に同意する女子高生もいる。ただ、同意は雇用主が知らないところで行なわれる。拒否しても店としての罰はない。

 この文章の前には、雇用や詐欺的な結婚のために外国人が日本に到着したが、バー、クラブ、売春宿およびマッサージ店などで売春を強要された話が記載されている。この次にJK散歩が登場する。その後は出稼ぎ労働者の話に戻る。無理矢理、JK散歩の話を入れた感がある。日本が人身売買天国だと言うためには、外国人の売春強制だけでなく、日本人にも売春強制が行なわれていると指摘したかったのではないか。

 報告書の結論は日本政府の人身売買等の取り組みが不十分だと指摘している。主に外国人の人身売買に関しては同意できる。しかし、日本人、特に日本人の子どもも同じような性的な人身売買にさらされている点は、外国人の問題とは質が違う。「JKお散歩」を含む援助交際の全般は、強制労働ではない。同列に扱うとすればやや強引だ。

Written by 渋井哲也

Photo by cocomiu

告発・現代の人身売買 奴隷にされる女性と子ども

米国の強引な解釈。

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