森友・加計問題で窮地に陥った、安倍総理からの執拗な抗議を受けていました|久田将義
政治家からの裁判では敗訴したのも多々あります。僕の学校の先輩だった代議士のケースもありました。政治家と言えど人間です。酒を飲む時もあります。
僕は当時、「月刊選択」の次長だったので、ひたすら議員会館を回ったり、なるべくそういった酒の席には出ました。そうすると、政治家の性格みたいなものが見えてくるのです。執拗な抗議をしてくる人もいました。「君を抹殺するぞ」と怒鳴る人もいました。http://tablo.jp/archives/4119
ある程度さっぱりした人だなと思ったのは渡辺喜美氏でした。呼び出される事も怒鳴られる事も恫喝される事もなく、こちらが丁寧な手紙と電話で、記事についてご説明とお話させて頂きたい旨を伝えたところ、秘書から返事が来て、そちらの姿勢は理解したのでこれからは頑張りましょうというようなメッセージを貰いました。勿論、うがった見方をするならばマスコミを取りこむ「作戦」と見えなくもないですが……。
「何かあれば訴えますよ」という姿勢は、近年ほとんどの政治家のマスコミ対策になっています。昔の田中角栄と早坂茂三のような関係はもう、見られないのでしょう。
最もしつこかったのが安倍晋三総理でした。これは歴代の首相を見ても最も多く抗議と裁判を行っているのではないでしょうか。是非調べてみたいものです。よほど、マスコミが嫌いか、それとも怖いか、小心者か。どうしたってそういうイメージを抱いてしまいます。僕がいた雑誌でも、裁判は三年は続いたのではないでしょうか。
報道する側にも問題はないとは言えません。でも、この人は歴代首相の中でも一番クレームが多かった、という政治記者の言葉を僕は聞いています。結局、謝罪文とたいした額でもない金を払い、終了したのです。
勿論、抗議する自由はあります。ただ、公人中の公人である事を自覚して頂きたいと切に願います。例えば「やっていない事」であるなら、「やっていない事」を国民に証明する義務があるのではないのではないでしょうか。
窮地に陥ると、政権の矛先はメディアに向く傾向があります。森友・加計問題で、安倍総理は現在、支持率降下中です。こういう時こそ、度量の大きさを見せて頂きたいものです。(文◎久田将義)