BTSの大人army(ファン)の私は彼らを虐めるマスコミ・ワイドショーを絶対に許しません|春山有子
FAKE LOVE/Airplane pt.2(初回限定盤A)
連日世間を騒がせている防弾少年団(以下、BTS)の原爆&ナチ問題。今週末に行われる握手会に高須クリニックの高須克弥院長が乗り込もうとしているなど、いまだ余波は消えない……、と、こんな風に愛するBTSのことを簡単になど紹介したくない筆者はつまり、army(ファンの総称)のひとりです。
先走った偏見や差別感情、事実誤認あふれる記事や、背景を一切調べず安易に「非常に不愉快」などBTSへ悪意を向ける安藤優子をはじめとするワイドショーの面々が目につくなか、こちらの記事は、
ネットを分断した「BTSの原爆・ナチ問題」とは一体なんだったのか(現代ビジネス)https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58475
大変にフラットで、他社サイトですがぜひご一読いただきたいです。
さて、11月13日に行われた東京ドーム公演は、何社かのカメラクルーがいたり、反日デモをやる若者が数人いたり、ツイッター上では若いファンを中心に、
<1人でいる方、若い方、大人armyさんに頼って。軽率な行動は避けてくださいね>
<本当にインタビュー気をつけて! 想像以上に内容がひどい。きっと週刊誌とかもいっぱいいると思うから どんなにいい事言ってもねじ曲げられる可能性大です>
<何人か囲んで無理矢理にでもインタビューに答えさせようとしているらしいです。なのでできるだけ1人では行動せず、複数人でいるようにしてください>
<もし囲まれたりして逃げられないと思った場合は声を上げるなど周りに助けを求めてください!!>
などと、まるで渡航中止勧告をする外務省のような物々しさで、注意喚起がされていました。
が、大人armyこと筆者が行った2日目の14日はどうでしょう。カメラクルーやデモを見つけることができず、通常通りの”超人気アーティストの東京ドーム公演”だったように思います。まあそんなものですよね。
・なんかKPOPアイドルが原爆に関するTシャツを着たらしい
・それで「Mステ出演」がなくなったらしい
・なんかナチス風衣装も着たらしい
・よくわからないネットニュースのほかにも反日っぽいことをしていたのが書かれていたらしい
・謝罪していないらしい
・みんな批判しているから批判していいらしい
・でも13日の公演後に公式HPで謝罪文が出ていたしたらしい
と、表面を撫でて終了ですよね。安藤優子でさえ、「なぜ、このTシャツをわざわざ着たの」「なんでっていうところがわからないから問題になっている」と言っているように、興味がないから調べていないくせに批判だけはいっちょまえにしているその矛先は、ひとりの23歳の人格ある人間だということを、意識しているのでしょうか、していないでしょうね。
「一番心配だったのは、Tシャツ問題の当事者であるジミンが、どうにかなってしまうんじゃないかってこと」と話してくれたのは、ライブ直前の会場内で取材に応じてくれたAさん。
「だって韓国の芸能人って、自殺する方が多いイメージがあるじゃないですか。万が一、そんな恐ろしいことが起きたらと思ったら……何も考えずにただ”反日”だとか”謝罪”だとか”日本から出て行け”とか悪意を向けていた人たちは、どうするつもりなんだろう」(Aさん)
筆者も同様の心配を胸に、眠れぬ夜を過ごしたひとりです。さらにファンに取材をお願いしていると、「祖母が被爆者」だという広島から遠征してきたBさんに話を聞くことができました。
「私も最初は、『なんでジミンちゃんがあんな服を着ていたの?』ともやもやしたんです。祖母はどう思うのか、おそるおそる聞いてみると……」(Bさん)
「あんたは原爆教育、何年生から受けたの?」と、意図の読めない質問返し。Bさんが「小学校高学年から」だと話すと。
「『広島のひとたちは、昔はもっと幼い頃から受けていたけど、どんどん変わっていくね。今はもっと遅いだろうね。日本でも時代によって教育が変わるように、国が違えば歴史認識だって違うのは当然でしょう。日本人の認識ではいやなことかもしれないけど、韓国には韓国の教育があって、捉え方があるんだよ』と言われ、なるほどと腑に落ちました」(Bさん)
また、この問題を独自に調べたというCさんは、「韓国芸能界の独特の文化が原因のひとつでは」といいます。
「KPOP界隈には、”マスター”と呼ばれる、要は”私設ファンクラブの一番偉い人”みたいな人がいるんです。日本のアイドル界の”トップヲタ”みたいなものですね。でもトップヲタの比じゃないのが、その活動内容。何百万かけて街の看板広告に誕生日祝いの広告を出したり、ライブ会場で公式カメラマンさながらに高画質の写真を撮ったり、資金を募るためにグループのオリジナルグッズを売ったりするそう」(Cさん)
ジミンがTシャツを着ていたのは昨年ですが、当時からarmyの間では認知され、「マスターからのプレゼントを着ている」と理解されていたといいます。
「とにかく影響力が強いマスターからのプレゼントを着るのは、KPOPアイドルならば絶対やらなきゃいけないこと。それがこんな風に掘り返され、世界的な問題に発展するとは思いもよらなかったでしょうね。そんな彼らの浅はかさが、罪だったのかもしれない。それに、本場の韓国armyが背景にいるなかで、そう簡単に謝罪なんてできなかったのでは。わたしは13日の公演も観ましたが、”なにか言いたくても言えない事情があるのだな”と、感じましたよ」(Cさん)
さすがarmyたち。いっちょかみの安藤優子以上の視野の広さと取材力を見せてくれます。
それに今、一部armyたちを悩ませ分断させているのは、Tシャツ問題なんかじゃありません。「サプライズはどうするか問題」です。
「これもKPOP独特の文化ですよね。有志のファンが公式に許可を取り、ライブ中にスローガン(筆者注:ファンが作るメッセージボードのようなものを、会場全体やメンバーに配布する)を掲げたり、アンコール時間にサプライズ合唱をするんです」(Cさん)
13日はサプライズ合唱が大成功。ですが、14日はグダグダになっていたように、実際に聞いた筆者は思いました。そう感じたのは筆者だけではなかったようで……。
<成功しなかったて言っている人の方が多い気がします。昔からのファンの方たちは、BTSコールの方がいいって言ってるし、グダグダになるくらいならBTSコールがいいな>
といった声のなか、
<大人armyずっと喋ってるしサプライズやること多分知ってるくせにやらねえとこ若い子ら見てるんだけどな。なにかあるといつも若い子に言う癖に>
と、大人と学生たちの分断が始まりつつあるではないですか。一部armyたちの目下の興味は、次の名古屋や大阪、福岡公演のサプライズの合唱曲をどうするか、なのです。
志同じarmy同士でも対立するのです。そりゃ国単位なんてすぐ対立しちゃいますよ。
「音楽に国境なし」といいますが、BTSも各国に地雷があることを認識した今回のことを機に、さらに国境をなくしていけると、信じています。
そして筆者が一番いいたいことは、以下でございます。
「サランヘヨJimin♥ You are my pride♥」(取材・文◎army春山有子)