元ホテルマンが演じる『HOTEL‐NEXT DOOR‐』 俳優・猪征大インタビュー

思わず応援したくなる好青年、いや俳優の猪征大さんです。

俳優・猪征大(いのゆきひろ)さんをインタビューしてみて感じたのは、応援したくなる俳優だなという事です。こういう役者が演劇の世界で輝いて欲しいと思いました。性格はひたすら熱く、それは演技だけでなく人生にもおいてもそうなのではと感じさせたからです。元ホテルマン。彼が俳優になる前の職業です。そして、今回WOWOWで9月10日『HOTEL-NEXT DOOR-』がスタート。主演はディーン・フジオカ。原作は石ノ森章太郎著『HOTEL』です。猪さんのの登場回は10月8日。是非是非熱演に注目を。

 

 

●「ホテルで働いている人に寄り添った作品です」

――ディーン・フジオカさん主演『HOTEL』が9月10日からWOWOWで始まりますね。猪征大さんはそこにご出演されます。僕は石ノ森章太郎さんの原作は読んでいるのですが、まず今回の脚本を読んでどんなふうに感じました?

猪征大さん 僕自身、もともとホテルマンでした。一般の人がイメージするホテルって、宿泊部門についてが大きいと思うんです。でも今回の作品はそれだけじゃなくて、レストランだったり婚礼だったり、施設の裏方の話まで描かれていて、ホテルを緻密に描こうとされているんだなっていうのが最初の印象でした。

――「自分が経験してきたホテルを描いている」みたいな印象ですか。

猪征大さん まさにそうですね。

――ということは、脚本家の方はけっこう取材されたんですね。

猪征大さん 相当調べられたと仰っていました。現実と離すことなく、ホテルマンという仕事に寄り添ってくれてるように感じました。働いている側の人に寄り添ってくれるような作品なのかなと思いました。

――ドラマの内容は、ホテルで働いている方の人間模様みたいな感じですか?

猪征大さん そこにお客さんが介入してきてっていうところではあるんですけど、ベースがスタッフ側目線で描かれていますね。

――猪さんはホテルマン時代、どんな仕事をされてたんですか?

猪征大さん 僕は宿泊部でドアマンとベルボーイでした。政界のお偉方とか企業の役員とかのVIP車を玄関で待っていて、ま
ず車番を覚えなきゃいけないんですよ。例えばクラウンの何番はどこどこの企業の会長の車でとか。車を見て「あ、誰々さんが来た」ってわからなきゃいけないところからなんで大変でした。

――それはある意味、怖い仕事場ですね(笑)。

猪征大さん そうなんですよ(苦笑)。僕はお台場のヒルトン(ヒルトン東京お台場)に勤めていたのですが、色んな方が来られて、顧客の方の情報が多いんですよね。やっぱり覚え切れなくて、何もわからずにフワッとVIPをお出迎えしちゃったときはバチバチに怒られましたね(苦笑)。

「ある意味怖い職場でした(笑)」

――怖いです……(笑)。ホテルというと優雅なイメージしかないんですけど、職人的な職場なんですか?

猪征大さん そう思います。人の顔を覚えるのが人一倍早かったり、人に対する気遣いというのはお客様だけじゃなくて、スタッフ同士で食事に行くときにも気遣いが当たり前になっているんです。洋服が汚れちゃった人が見えたらおしぼり渡してあげるとか、ホテルマンはそれを当たり前にやるんですね。「相手ファースト」なんです。

――ホテルはどれくらいお勤めされたのですか?

猪征大さん 丸3年勤めました。

 

●「俳優になりたい」 それを聞いて父親はなぜ激怒したのか

――「石の上にも三年」っていいますけど、3年で一人前ぐらいですか?