テレビ朝日『アメトーーク!』が「行かないほうがいい」と揶揄した西成に行って帰ってきました

まず、あいりん地区に関して言えば、かつてのドヤ街は福祉の街となり、さらに空洞化したドヤ(簡易宿泊所)はインバウンドのための廉価な宿に変化した。ここ数年ではさらに進化して、外国人観光客向けのビジネスホテルが建設されている最中だ。また、賛否両論があるが、西成の商店街では中華街構想なるものまで出来している。

今まさに、インバウンドの街と変化しているのに(写真はイメージ)

もうひとつ、飛田新地について言えば以前と変わらないと言えば変わらず、通常運行ではあるが、それも西成地区のごく一部である。東京台東区のなかに吉原は存在するが、(同区の)浅草や上野まで含めて吉原と混同する人間はおるまい。

さらにいまひとつ、、あいりん地区では区役所や府警がゴミ問題や治安改善に力を入れており、以前よりずいぶんと改善した、と地域住民も評価している。実際問題として筆者は、定期的に西成地区を取材しているし、つい先日も同地を訪れたが、ネットなどで流布している「あいりんでは薬物の売買が公然化」などの噂は、いつの時代の話だよ? というのが正直の感想だ。

もちろん、すべての問題が解決した、というワケではない。また「差別的表現」に敏感な理由もあるにはある。そんななかだけに、『アメトーーク!』のネタはやはり不用意との誹りは免れないだろう。ここで芸人を非難しても仕方がない。彼らは自己認識の範疇でのネタなのだから。やはり、テレビ局員の思い上がり、と言って言い過ぎなら、度を越えた認識の甘さに問題の根っこはある。(取材・文◎鈴木光司)