悠仁親王を狙った「ナイフ脅迫」 事件解決で注目された『防犯カメラ・システム』に絶賛する新聞への警戒感

これは、2009年に警視庁が新設した捜査支援分析センターの略であり、防犯カメラを統括的に追跡するなどの電子化部隊である。かつてはプライバシー問題があるとして、少なからずの人が違和感を覚えていた街中の防犯カメラ(監視カメラ)だが、海外のテロ犯罪や警察庁の啓蒙などもあり、あっと言う間に日本国中に網羅された。

今回の事件でも、逮捕の決め手となったのは防犯カメラの追跡であり、SSBCによる捜査であった。それだけに、かつてはプライバシーの問題云々を口にしていたマスコミも、SSBCの「効果」を際立たせるような報道が顕著である。

例をあげれば、4月29日のAERAdot.の「悠仁さまの中学に侵入した56歳の男を逮捕 警視庁SSBC部隊は追跡」や、同じく29日、テレビ朝日の「防カメに“不審者”…操作のカギ握るSSBCとは」などの見出し記事だ。ここら辺の機を見た太鼓の打ち方は、いかにも記者クラブ的というか、かつて大本営発表を喧伝した朝日新聞系の本領発揮という感もある。

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いずれにしても、今後、ネットを含めてSSBCを是とする話題が氾濫すると思われる。無論、犯罪捜査への寄与を否定する気はないが、その一方で凶悪犯罪自体の件数は減少しつつあるという現実、プライバシー保護、そして記者クラブを中心とした大手マスコミの警察ちょうちん持ち……それらへの警戒を怠らないことも必要ではないだろうか。(文◎鈴木光司)