「人を刺してくる」と母親に告げて出て行った娘 裁判では「みんな私を見て笑う。ふざけんじゃねえ」と激昂

父親の証言では落ち着いている時もあるようですが、病気の影響で精神状態に大きな波があるそうです。公判中の彼女は、周りのもの全てが自分を傷つける敵に見えているようでした。

「包丁を持った私に顔をのぞきこまれた女の感じた恐怖なんて、そんなの理解できません! 普通に幸せそうな人だったから! 私は同じことされても怖くない。別に刺されて死んでもいいから。これだけ世の中に裏切られ続けてたら理解なんてできるわけない! 子供も大人もみんな私を見て笑う。ふざけんじゃねえって思う」

公判中の態度から見て反省をしている様子は全くありません。被害者こそいませんが通り魔と変わりない犯行です。

ただ、彼女の前後の脈絡も何もない供述はこの世界、そしてそこに生きる私たち全員に突きつけられた怒りの声です。精神障害者の被害妄想、と切り捨てることは簡単ですが、彼女は苦しいと訴えています。彼女の声を無視すれば、彼女の苦しみは今後も終わりません。

この裁判は世界を自分の力で裁こうとした彼女を裁く裁判です。彼女の目に映っていた世界は、彼女に対してどれほどの罪を犯したのでしょうか。

この裁判の判決は懲役4ヶ月、執行猶予3年でした。(取材・文◎鈴木孔明)

あわせて読む:「自分の助言を守らなかったから」 女優・のんに対して数年にわたり嫌がらせをしていた男を実名報道 | TABLO