岩崎隆一容疑者と宅間守死刑囚の共通点 小学生を襲った二人の悪魔の「心の闇」|八木澤高明

高校中退後、自衛隊に入隊するが、素行不良で除隊となった。その後も数々の職場を転々とするが、どれひとつ長続きしなかった。それどころか、不動産会社に勤めている時には、合鍵を使って、部屋に侵入し強姦事件を起こすなど、凶悪事件を積み重ね、反社会的な行為を繰り返した。

宅間は、逮捕後の精神鑑定において、情性欠如という鑑定を受けている。これが意味することは、人間として本来持っているはずの『他者への優しさや弱き者を慈しむという気持ち』が欠如しているということだ。

抵抗するする力を持たない、子供たちに刃を向けるという行為、さらには裁判において遺族に暴言を吐き、最後まで謝罪の気持ちを表さなかったことなどが、情性の欠如を物語っている。

情性欠如に加えて宅間の場合は、仕事を転々とするなど、社会に適応できず、世の中のエリートへのコンプレックスから医師やパイロットを名乗って、女性を物色するなど、歪んだ感情を増幅させていった。

岩崎容疑者に関する情報はこれから流れてくると思うが、小学生に刃を向けるなど、宅間と同じように情性の欠如が感じられる。さらに今現在の状況で判断する限り、家に引きこもるような生活をしていたことからも社会に適応していたとは言い難い。

現在日本では、職につかず親に養われているニートが200万人いるという。今後、経済が冷え込んでいけば、正社員になるのはますます難しくなり、景気の良かった時代に両親が蓄えた財産を当てにし暮らしていく者は、増え続けていくことになる。

社会に適応できない者が、世の中に対して不満を抱え、暴発することは、今後無くなることはない。最早、老人や子供といった弱者を狙った事件は、今後日本のどこでも頻繁に起きる可能性があるということを今回の事件は教訓として、伝えているように思えてならない。(写真・文◎八木澤高明)

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