人生をやり直したい…40歳になって猛勉強し大学まで行った男がなぜ生活保護をもらい犯罪を犯すまで堕ちたのか

生活保護で生活するようになった頃には彼の心は折れてしまっていたかもしれません。それでも彼も生きるために、幸せになるために、懸命に闘っていた時代もあるのです。

弁護人は裁判では罰金刑でなく執行猶予判決にするよう求めました。

貯金もなく罰金を支払えない彼にとって罰金刑は労役行きを意味します。しかし判決は罰金30万円というものでした。

裁判官は、
「今回の罪の法定刑は『100万円以下の罰金』です。それが4つあるから加重で400万円以下の罰金。30万円なら安いです。悪いことしたんだから少しは痛みを受けないとダメですよね。でも検察官もあなたのことを考えてこの金額にしたんだと思います。辞めたとはいえ大学にも行ってたんだし、あなたは本当は一生懸命できる人でしょ? 少しでも働いて、自分の罪の責任を自分で取れる人であってほしいと思っています」
と説諭を加えていました。

ネット上では生活保護受給者への心ないバッシングをよく見かけます。生活保護受給者にも、それぞれの事情がありそこに至るまでにはそれぞれの人生があります。彼らを責めるよりも理解し支えること、それが社会に必要なことだと思います。(取材・文◎鈴木孔明)

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