「あの事件はどうなった?」 警視庁内で消えた犯人 なぜ警察は情報隠蔽するのか 報じようともしないマスコミの堕落

戦前の日本では、逮捕された社会主義活動家が留置場の中で刑事にリンチされ、殺されるようなケースが少なくなかった。有名なところではプロレタリア作家の小林多喜二などだ。とは言え、大日本帝国の特高警察だって、逮捕した容疑者が死んじゃいました、と家族に死体を送り返し、葬式を出させるぐらいの気遣いはみせた。全く闇から闇に葬ろうとしたケースは、アナーキストの大杉栄と伊藤野枝、甥の橘宗一(当時6歳)を殺害した憲兵隊の「甘粕事件」がある。

完全な独裁国家だったナチス政権下のドイツや、スターリン政権下のソ連では、深夜にゲシュタポやゲー・ペー・ウーが容疑者を連行すると、その後の消息は家族も分からなくなる場合があった。処刑されたのか、強制収容所や労働キャンプに入れられたのか、知るすべはない。永遠に姿を消してしまった人も少なくなかった。

坂下容疑者の場合は、政治犯ではないだろうが、大手メディアの劣化が著しい中、こうした事例を見過ごしているのは、極めて危険なことなのだ。

 

マスコミや野党が『桜を見る会』を追及するのは、無論大事なことだろう。しかし、同時にこうした都会の片隅で起きた事件の中に、当局の人権侵害や不法行為の疑いのある事例がある事にも、政府を監視すべき役割を持っている国会議員やメディアが、もっと目を向けなくてはならない。(文◎高田欽一)

 

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