やっていることはデマの流布?人権団体ヒューマンライツ・ナウのデタラメを指摘する!

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 先日の記事では人権NGO団体ヒューマンライツ・ナウ(以下HRN)の児童ポルノに関する記者会見の内容のおかしさや、明らかなデマと言っても過言ではない点などを指摘した。そこで今回は、HRNが公開した一般向け報告書や記者会見での言動に潜む大失敗を指摘する。

■HRNはAV女優の人権や安全などに配慮する気が全くない

 HRNが公開している報告書には、提言としてこのような一文がある。

「照合・確認した出演者の氏名、年齢、住所がわかる ID を保管し、流通・販売・配信等関連業者に交付し、警察等の照会にいつでも対応できる体制を確立すること」
※ HRN 児童ポルノ報告書 http://hrn.or.jp/activity/8307/ から引用(53項の3)

 過去に寄稿したAV系の記事の中で散々説明したが、AV女優の本名・実年齢・出身地などは極秘事項とされている。それはストーカー対策や、その後の人生に支障がないようにといった、AV女優の身を守る意図が大きい。HRNはそういう理由で伏せられているAV女優の個人情報を、プロダクションで止めるのではなく、流通問屋・小売店・ネット配信業者などに配れと言っているのだ。

 そんな事をしたら情報に触れられる人間が増え過ぎ、いつ誰がどんな目的でAV女優のプライバシーを暴くか解ったものではないし、人気女優の情報を売る輩まで現れるかもしれない。その結果AV女優がどんな目に遭うか想像に容易いだろう。

 HRNとは人権だの女性の権利だのを錦の御旗とするクセに、AV女優などどんな危険な目にあってもいいと言っているのである。こう言うと反論もあるだろうが、そういった差別的な本音がなければ、このような危険極まりない、言ってみればAV女優を直接地獄に蹴落とすような主張が出来るはずがない。HRNがセックスワーカーを「守られるべき女性」として見ていない証拠と考えていい。

■女性の体型そのものを非難する愚

 また、記者会見での発言にも報告書にも出て来るが、HRNは「児童に見える体型の女性が出ているAVが存在する事が気に入らない」ようだ。伊藤和子弁護士などは記者会見で「合法な作品でも出演者が児童にみえるポルノがたくさんあることが状況を難しくしている」と述べているが、これなど前後の文脈と合わせて考えると「現時点で合法とされている物でも、出演者が児童に見えるなら違法とすべき」という意味にしか受け取れない。

 となると、胸が小さいとか、細身だとか、”児童の記号”を持つ女性から裸仕事という選択肢を奪うという事になる。これは女性の体型を理由にして職業選択の自由を奪う行為であり、人権侵害そのものではないのか。HRNは人権団体のはずなのだが、なぜそんな旗を掲げている人間が他者の人権を侵害しようとするのか。これは流石に冗談にもなっていない。

 またこうした判断基準は、裏を返せば「”オトナの記号” を持つ児童の性的虐待の記録物を見逃す」という隙を作る事にも繋がる。「18歳未満に見えるからNG」とインプットされると、胸やお尻が小さい、制服を着ている、といった18歳未満に見える記号だけを探し続ける事になり、それを持たない人間は意識から外されてしまうからだ。常日頃から「児童を守る」と言っている人権団体の発言とは思えぬ危うさである。

■HRNがやりたい事はポルノ狩りであって児童保護や救済ではない

 前回の記事を書き上げた後に、HRNが公式サイトに一般公開用の報告書をアップしたのだが、そこに問題とした作品のタイトル名などが書かれていた。先日の記事はこれを読む前に書いたものだという事を明らかにしておく。

 この報告書によって、予想通りHRNが大騒ぎしている作品の大多数は「女優・男優からスタッフに至るまで年齢確認をしていなければ売り場に出せない “表AV”」であり、ついでに言えばメーカー名も大当たりだった事が確認できた。

 ただし、ジュニアアイドルのイメージビデオと思われるタイトルも挙げられていたのだが、これについては専門外であるため、判断は保留としたい。報告書にあるのは文章だけで、DVDのパッケージなどが伏せられているため内容が確認できず、これでは作品が児ポ法違反かどうか判断できないからである。

 先日の記事にも書いたが、世に出回っているDVD作品の中で、法に定められた”児童ポルノ”に引っ掛かる可能性がゼロではない物があるとすれば、それはジュニアアイドルの着エロの類だけである。児ポ法は法律の解釈が難解なので、ギリギリ合法な作品を撮っているつもりでも、文章の解釈次第で児ポ法違反になる可能性がゼロにはならない。そのようなチキンレースをやり過ぎなグレーゾーン作品が未だに売られていたとしたら、それらが摘発される事に対しては当然の結果だと思う。

 だが、そんな際どい着エロ作品は、今では取り扱い店が激減しており、amazonが捜査を受けて逮捕者が続出した事もあって、ネットの通販サイトすら閉鎖が相次いでいるような状況にある。今も売り続けているサイトもあるにはあるが、それらはいつ警察に難癖付けられて摘発されてもおかしくないリスクを背負っている。そんなおいも屋本舗すら亡き後の秋葉原で、HRNは何がしたかったのだろうか。

 そもそもの話になるが、今回HRNは児童ポルノの流通状況などを調べるために、秋葉原などのAVショップの売り場を調べて回ったそうだが、ここがすでにおかしい。AVショップのAVコーナーに置いてある商品は「出演者が成人女性と確定している合法なAV」だけである。もしそれを知らなかったのならば、せめてAVショップと違法な裏DVD屋の区別くらい付けられるようになってから報告書を書いて欲しい。

■HRNのやっている事はデマの流布

 それにしても「アキバには児ポがあるある!」と1年以上も騒ぎ続けた挙句、何度も現地を見ているのに10件にも満たない数しか報告書に載せられる作品が見付けられなかった点や、それらの大多数も成人女性しか出ていない(年齢確認書がないと流通に流せない)普通のAVである点、更にはメーカー名などすぐに解るのに詳細の確認すらしていない点、にもかかわらず記者会見まで開いて嘘だらけの主張を垂れ流す点などから導き出される結論は、「これをデマと言わずして何と言えばいいのか」である。HRNのやっている事は話を盛るどころではなく、単にデマの拡散なのだ。

 こんなくだらないウソ吐きにリソースを割くくらいなら、何故もっと具体的な児童保護や救済案を出さないのか。肝心の児童の存在はどこにあるのか。HRNのようなポルノ狩りがしたいだけの団体は “ポルノ”にばかり目が行っているから、肝心の子供の存在が消え去る。これこそが “児童ポルノ” という名称を使うべきではない最大の理由である。

 どうしても子供を盾にしたいのであれば、せめてウソを全て排除した上で物を喋っていただきたい。児童保護を掲げる団体が大嘘つきだと世間に浸透してしまっては、それこそ他のNPOやNGOも疑いの目で見られ、守るべき子供が見捨てられる結果に直結する。いい加減にそれに気付くべきであろう。

■裏取りもせずHRNの主張を垂れ流しにした大手メディアの愚かさ

 最後に、このような少し調べたらすぐに嘘と解る話を、裏取りもせずに垂れ流した各報道メディアには猛省を求める。TV局や新聞社などであれば、HRNが問題とした作品の現物を入手するとか、その制作会社に取材するとか、詳細を公開するしないは別問題として、いくらでも裏取りが可能なはずだ。それをせず、さも「秋葉原に違法な児童ポルノが売られている」かのように触れ回った罪は重い。

 HRNが問題として騒いでいる作品の殆どは、AVメーカーが発売しているDVD作品である。であるならば、CAなりSODなり発売元になっているAVメーカーや制作会社に、”女優・男優の年齢確認書”が残っている。そうした個人情報の全てを公開するのは難しいだろうが、未成年者がいるかどうかを確認するだけならば可能である。なぜその程度の事もせずに、無実の人間に対して児ポ法違反の犯罪者だと言わんばかりの報道が出来るのか理解に苦しむ。

 これまでは最大の欠陥である「労働者派遣法・職業安定法の有害業務である」という一点から逃げられず、サンドバックになるしかなかったAV業界だが、HRNが武器を「児ポ・女優の年齢」に持ち替えた事で、逆に一方的に反撃できる状況が生まれた。これに気付いてAV業界がその気になってくれれば面白いのだが、この所の摘発続きで心が折れまくっているだろうし、いまひとつ期待出来ないのが辛いところである。

■問題とされたAVメーカーの声

 実はすでにHRNが報告書の中で名指しした複数の制作会社へ質問を送ってある。ただし、AV業界の知人を通して直電などをかけてしまうと「その電話番号は表に出ていない」といった反論が来てしまうので、公式サイトの問い合わせフォームから質問を送るという “誰にでも出来る方法” を採らせていただいた。これならば「お前みたいなAV屋だから出来る手法だ」といった下らない言い訳はできないはずだ。

 すると、あるメーカーが即座に回答してくれ、今回の原稿に間に合ったので、その内容を以下に記しておく。また、今回はこの一社だけだが、他のメーカーからの返答があった場合、それらは次回以降の原稿に掲載させていただこうと思う。

◇◇◇

※FirstStarからの回答

質問:御社の作品に未成年者が出演している物はあるか?

回答:「18歳未満の未成年者及び生徒・児童の出演」は、一切御座いません。

質問:男優、女優、場合によってはスタッフにも年齢確認書を書かせているはずだが、それらの保管はされているか?

回答:弊社は、女優キャスティング際しての面接時、撮影前に年齢確認を行っております。年齢確認のできる物の原本と顔の横でその原本を持った状態の2つを撮影させて頂き、データとして保管しております。また、出演承諾書、パブリシティー関する書類等にも記入して頂いております。

弊社としましては、今回の件に於きまして急にこの様な事態になり、大変遺憾であります。出演している女優さんは、全てプロダクションを通していて、大手メーカさんにも出演しています。

ご存じの通り、アダルト業界における強要や人権に関する問題が取り上げられ社会問題に発展しており、弊社としましても真摯に受け止めております。先日、著作権保護や業界の健全化を目指す「NPO 法人知的財産振興協会(IPPA)」が示す「特定の団体で審査・検査が行われていない作品」とならない様、「全作品の審査受審」とし、業界の健全化へ向けての参画を決定しております。

私たちが制作し販売している作品に於きましては、「18歳未満の未成年者及び生徒・児童の出演」という作品は、一切御座いません。また、製造、販売も致しておりません。

◇◇◇

 この回答は、たった半日程度で届いたものである事を付け加えておく。FirstStarは公式サイトで電話番号も公表しているので、HRNに事実を確認する気があるならば、簡単に真実が突き止められたはずだ。

 この回答だけでは信じられないというなら、会社に保管してあると言うのだから、モデル本人やプロダクションへ許諾を貰い、現物を見せて貰えばいい。たかだかそれだけの事をしなかった点を重視しておきたい。HRNには 「それをしたくない理由」 があったのだろう。

Written by 荒井禎雄

Photo by Luke,Ma

これでいいのか東京都板橋区

これでいいわけない!

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