「ミャンマー料理が美味しくなくて腹が立ったから暴れた」 アスペルガー症候群と診断された犯罪者の苦悩
何でみんな笑って楽しそうに生きていられるの?
船山は一体何に怒っていたのだろう。ミャンマー料理のことはただのきっかけに過ぎないと思う。船山は裁判中、こんな話をしていた。
「生まれてからずっと万引きとか、犯罪行為ばかりしてた。そんな人生の中でずっと『裏切られた』という想いがあった。何に対してそう思ってるかは自分でもよくわからない。生きていることに激しい苦しみがある。何でみんな笑って楽しそうに生きていられるの? いつも心の中は苦しみでいっぱいで、正直反省どころじゃない」
感情が高揚すると理解できない行動をとってしまう船山。彼と、彼の障害を認め受け入れてくれる人は今までに一人でもいたのだろうか。誰もが当たり前のように持っている人との繋がりや温もりを彼は手にしたことがあるのだろうか。
彼を『裏切った』のは、一体誰なのだろうか。(取材・文◎鈴木孔明)