【試験に出る】 「おにぎりが食べたい……」現代日本で餓死していく人々の数 【統計データシリーズ】
食料の不足による死者数(クリックで大きく表示されます)
「今日は中華の気分じゃないし、お蕎麦にしよう」というような自問自答は誰でもしたことがあるはずです。現代人にとって「食」は”生きる”ために必要なことのほか、趣味や嗜好を満足させるという目的も果たすようになりました。今回はそんな「食」についてのデータを取り上げてみましょう。
グラフは厚生労働省の「人口動態調査」を基にした「食糧不足による死者数」であり、いわゆる「餓死した人」となります。調査項目には「栄養失調による死亡」もあるのですが、こちらは病気で栄養が摂取できない人なども含まれるため、「食糧不足」だけに絞って調べてみました。
最近になって減少しているとはいえ、2014年は24人、2015年は19人、2016年は15人と、近年になっても日本では年間10人以上の人が食糧不足によって死亡しています。ちなみに近年メディアでも大きく取り上げられた餓死事件といえば、2007年7月に起こった「おにぎり食べたい事件」です。52歳の元タクシー運転手が生活保護を打ち切られて餓死した際、日記に「おにぎり食べたい」という言葉を書き残していたというもの。飽食時代と言われる日本での餓死事件ということで、世間に大きな衝撃を与えました。
おそらく、今のほとんどの日本人にとって「死ぬまで食べられない」という状況は想像すらできないものです。筆者も子どもの頃に好き嫌いが多く、母親から「アフリカの子どもたちは…」という説教を喰らったときも、全く心に響きませんでしたし。でも、紹介したデータを見ていると、無機質な数字の羅列であるはずなのに、なぜか「食べる」ということの意味について改めて考えさせられてしまいました。
※厚生労働省「人口動態調査」の「提供分類1:人口動態統計」「提供分類2:確定数」「提供分類3:死亡」より。各年次の「X53:食糧不足」の数値を筆者がグラフ化しています。
取材・文◎百園雷太