19歳警察官が上司の巡査部長を射殺「罵倒されたから頭にきた」
4月11日午後9時前、滋賀県彦根市の河瀬駅前交番で、勤務中だった井本光巡査部長(41)が頭と背中から血を流し倒れている状態で発見された。
井本巡査部長は現場の状況から背後から拳銃で撃たれたとみられ、そのまま救急搬送されたが搬送先の病院で死亡が確認されるに至った。
滋賀県警察本部は11日の朝から一緒に勤務していた19歳の巡査が拳銃で井本巡査部長を撃ったうえパトカーで逃走したとみて公開捜査に乗り出すと、12日未明には隣接する愛荘町で身柄を確保、同日午前5時半頃には、殺人の疑いで逮捕となった。
この事件は日本では発生の珍しい拳銃を使った殺人事件である点や、被害者が警察官であるだけでなく加害者も警察官ということで人々の関心も高く、動機には大きな注目が集まることに。
そして19歳の巡査から語られた犯行動機は、「罵倒されたので拳銃で撃った」という衝撃的なフレーズだった。
井本巡査部長は河瀬駅前交番で指導役となっており、19歳の加害巡査に対し厳しい指導があったのではと考えられている。
この動機から「パワハラ体質をなんとかすべき」「警察組織は上意下達の温床」「極端に閉鎖的な環境が招いた悲劇」といった警察組織全体に巣食う問題を指摘する声も大きく、19歳加害巡査の恩師が語る、高校時代には真面目な高校球児で警察官に対する憧れを抱えていたというエピソードも加わる形で、人々の同情が19歳加害巡査に集まる流れに。
また、「警察官に普段から実弾入りの拳銃を所持させるべきではない」といった議論も巻き起こっているが、緊急対応や治安維持にも関わる問題であるため適切な判断とは言い難い。
大きな流れとして警察組織の問題という潮流があるようだが、やはりその流れに準じて厳しい指導にあたっていた結果、殺害されるに至った井本光巡査部長こそが最大の被害者であるということを忘れてはならない。(文・黒川明)