絶対に報じられない新潟女児殺害事件現場 マスコミが犯人と決めつけた男

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 わずか7歳の女の子を殺害し、証拠隠滅のため列車に遺体を轢かせる――前代未聞の鬼畜が逮捕されたのは、事件発生から1週間が経過した5月14日のことです。

 事件発生後、現場には情報番組「スッキリ」(日テレ系)の阿部祐二レポーター、元警視庁刑事のコメンテーター・吉川祐二など、事件現場にはおなじみの顔が勢揃いし、現場はさながら鉄火場のような緊迫感が漂っていたといいます。
 そのとき、メディア各社はどのような取材を展開していたのでしょうか。取材の舞台裏を明かすのは、ある週刊誌記者です。

「発生から3日間は、ひたすら被害者の大桃珠生ちゃんの人物像やガン首(写真)集めに奔走していました。いま報道で出ている珠生ちゃんの写真は小学校の創立130周年記年のDVDなのですが、全生徒に配られたものではなく、実は貴重な代物。ある写真週刊誌の記者は保護者会に出向き、保護者ひとりひとりに『DVDを持ってないですか!』と血眼になって呼びかけていました」

 事件発生4日後になると、現場に「迷宮入り」の一文字が浮かんできたといいます。相変わらずドライブレコーダーを集めている警察に痺れを切らし、報道陣は独自で地元の不審者の割り出しに動いていたのです。その結果、3人の不審者情報が浮上してきたといいますが――。

「1人は地元では有名なアル中のおっさん。『あいつならヤリかねん』ということで、NHKを含む複数の社が事前におっさんの『絵取り』と一問一答を済ませていました。要するに、逮捕されたときのための素材作りですよね。2人目は、地元のひきこもり男性。自宅には取材が殺到し、結局、親御さんがブチ切れて、報道陣の写真を逆に撮りまくっていましたね」(同前)

 3人目に浮上したのは、地元の地銀に勤める20代のA氏。実は、14日早朝、フジテレビなどが「重要参考人の聴取始まる」と第一報を打った際、各社は人定(当該人物の名前を特定すること)ができていなかったのです。

「その日、多くのマスコミは『重要参考人』をこの3人目のA氏と勘違いしていました。さらにテレビ局がA氏の自宅を指差し『こちらに住む20代の男が事情聴取を受けている模様です』というレポートまで始める始末。しかし、(勤務先の)地銀が否定のFAXを各社に流したことでA氏ではないことが分かった。いま考えれば、とんだ人権侵害でしょう」(同前)

 結局、夕方前になり「男に逮捕状請求」という報道が流れ、容疑者はノーマークだった近所に住む小林遼容疑者(23)だったことが発覚。続々と自宅前にはマスコミが集まり始めたのです。まさにマスコミにとっても急転直下の逮捕劇だったといいます。

「警察からの情報が下りてこず、発生数日後の週末には仕事を放棄し、『もう迷宮入りだ。新潟県警は無能だよ』と飲み屋で管を巻いていた記者も多かっただけに、逮捕状請求と聞いて、まるで狐につままれたような気分でした」(社会部遊軍記者)

 メディア側から見ても稀有な事件だったようです。(取材・文◎編集部)