北関東では女性が連れ去られ殺害される事件が相次いでいる 昼間でも日の射さない林道を歩く|八木澤高明
本事件の発生当時彼女が暮していたのは、茨城県結城郡石下町(現常総市大沢新田)で遺体となって発見された石岡市の現場からは、直線距離で10キロほど、車であれば30分もかからない距離にある。現場からは、乗用車や軽トラックのタイヤ跡、遺体が放置された斜面の三ヶ所からは平らな靴跡などが見つかっているが、犯人逮捕に結びつく決定的な証拠は見つからなかった。
遺体発見現場を訪ねてみる。筑波山へと続くフルーツラインと名付けられた県道から一本入った林道の中にその現場はあった。林道の入り口で車を止めて、林道を歩いてみた。事件発生当時と様子は大して様子は変わっていない。雑木林に覆われた林道は昼間にもかかわらず、陽がほとんど刺さないこともあり、地面を踏みしめると、じめじめとした湿気を感じる。
林道の周囲の林には、不法投棄された、瓶や家電製品が転がっている。よく見ると、女性もののセータが泥にまみれて捨てられていた。現場からは今も、犯罪の匂いがぷんぷんと漂ってくる。
筑波大学女子大生殺害事件や無期懲役の判決が下されたが冤罪の可能性が高い今市女児殺害事件などの遺体発見現場も不法投棄が目立つ、人気のない林の中だった。同一犯とまでは言わずとも、似たような思考回路、生活スタイルの人間によるものに違いない。
まるで粗大ゴミを捨てるように八嶋さんの遺体を遺棄した冷酷な犯人は今も、市井の人々の中にまみれているのだ。(取材・文◎八木澤高明)