何を信じればよいのか! 役所が困窮者に『貧困ビジネス』施設を紹介! コロナ禍において決して他人ごとではない!|裁判傍聴

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「新宿に行こう」

吉鶴龍太郎(仮名、裁判当時58歳)はそう思い立ち歩きだしました。目指す場所は新宿西口公園。そこには手配師のような人間がいて仕事の斡旋をしてもらえるという噂を聞きつけたのです。

あくまでそれは人に聞いた噂でしかありません。実際にはどうなっているのかはわかりませんでした。それでも彼は、それまで暮らしていた施設を飛びだしました。

彼がいた施設の場所は春日部。春日部から新宿まで、電車なら約1時間半で着く距離ですが電車賃の持ち合わせはありませんでした。歩いていくしかありません。最短コースで歩いておよそ7時間半の道のりです。

季節は真夏、8月11日でした。

お金を全く持っていなかった彼は途中で水を買うこともできません。それでももう二度と施設に戻るつもりはありませんでした。

歩いている途中、彼は学習塾の前で施錠されていない自転車を発見しました。

「新宿にさえ着けばなんとかなる…」

彼は自転車にまたがりました。他の選択肢などもう彼には思いつかなかったのです。

彼は上野で

「新宿まで行きたいから道を教えてください」

と警察官に道を尋ねました。子ども用の自転車に乗った彼を見て警察官は不審に思い、職務質問をはじめました。そして、自転車が盗んだ物であることが判明し彼は窃盗の現行犯で逮捕されました。

 

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