【詐欺被害】ネットオークションが裏社会ビジネスの温床になる理由
以前から何度も胡散臭い連中が詐欺の場として利用してきたヤフオクだが、またも絵に描いたような典型的な “オークション詐欺” が発生中である。今回は “エルショップ” というアカウントが振込詐欺をしているのではないかと話題になり、Yahoo!によると「連絡が取れない」との事で、いわゆる絶賛逃亡中だ。Yahoo!は利用者達にそのアカウント相手にお金を振り込んではならないとアナウンスを発するなど対応に追われている。
さてさて、過去にとある件で暴力団員に取材をしたところ、世間話のついでに面白い話を聞かせてくれた。東京BNの読者ならばどこかで聞いた事があるかもしれないが「仮にホームレスでも生きてる日本人ならいくらでも金になるんだ」 というアッチの世界のひと特有の考え方である。
例えば日本国籍そのもの。ベタなところでは内臓を売らせる。はたまた車に乗せて山奥に運んで延々と単純作業をさせる。または生活保護ビジネスのタネにする。犯罪用の銀行口座を作らせる。小さなところでは携帯番号を取ってこさせるだけでも小遣いにはなる。加えて久田編集長の得意分野で言えば原発作業員もこうした裏社会ビジネスに含まれてしまった。これらはホームレスだろうと何だろうと、日本人が1人いれば全て実行可能なのだ。
そして今回の話題に沿ったところでは「銀行口座とひも付けされたネットアカウント」も今では立派な裏社会のシノギとなっている。やっとの事で冒頭の話と繋がるが、ヤフオクは詐欺に利用しやすいネットサービスの中で、成功した場合の実入りの大きさと、アカウント&口座開設の手軽さとで、裏社会の皆様にとってのユーザーフレンドリーランキングNO.1なのだ。ここまで詐欺が常習化しているのだから、もう少し開設のハードルを高くしても良いのではないかと思うのだが。
このヤフオクを使った詐欺に使用される銀行口座は、上に挙げた「日本人なら」どころではなく外国人でも開設可能で、短期の仕事や留学など何かしらの理由で日本に来た外国人にアカウントを作らせ口座を登録しておく。そしてちょっと小遣いでも握らせて国に帰らせ、残ったヤフオクアカウントと銀行口座を詐欺に使う。こうした方法で「バカが引っ掛かったらいいな~」と手数で勝負している連中がいるので、ひとつ潰したところで恐らくそう簡単には足がつかず、ほとぼりが冷めた頃に生きている別のアカウントで同じ事を繰り返すだけなのだ。
冒頭のエルショップとやらが使っている銀行口座も、名義人は外国人だそうで、電話番号は03(東京の市外局番)なのに会社住所が鳥取市で、おまけに口座は名古屋市内の銀行のものなのだとか。これだけ役が揃うと麻雀なら跳満くらいあっておかしくない。
今やスマホで簡単に決済が可能なネットサービスも多くなったが、手軽という事はそれだけ犯罪被害に遭う確率が高いのだとご理解いただきたい。暗証番号やカード番号などを入力する前に、そのワンクリックをする前に、そこが本当に信頼できる相手なのかいま一度考えるべきだろう。
Written by 荒井禎雄
Photo by Nappiness
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