“アダルト動画まとめ”が一斉摘発!業界が恐れる”2016年問題”の一環か
今年1月の年明け早々に、東京BNに以下の記事を掲載していただいた。 もし可能ならば、まずはそれを読み直して内容を確認して欲しい。
『Tor無敵神話”が日本でも崩壊? アダルト宣伝サイトで大量逮捕事件を考える』
http://tablo.jp/culture/net/news002145.html (前編)
http://tablo.jp/culture/net/news002149.html (後編)
上記の記事を掻い摘んで解説すると、「法の整備が進み、また警察が方針を変えたために、これまで安全と信じられていた手法が通用しなくなっている。 2016年には海外サーバを使った無修正エロサイトなどに対する苛烈な摘発が行われるだろう」 といった内容。
私はこれを “2016年問題” と呼んでいるのだが、その一環と受け取れる摘発劇が巻き起こった。 よくある “エロ動画まとめサイト” の運営者らが逮捕されたのだ。
容疑者らは 『xvideo熟女まとめ』 というまとめサイトを開設し、そこによくあるエロバナー(無修正サイトの広告等) を掲載するなどし、広告料を得ていた。 xvideoという名称が掲げられており、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列の容疑が持たれている事から、無修正のエロ動画へのリンクまたは紹介ページが引っ掛かったのだと推測できる。
さて、このニュースで注目すべきは 「画像や動画が問題視されている」 という点である。 以前にも 「サイトに掲載しているアダルト広告の画像が違法だ」 としてエロ系ブログの一斉摘発が行われたが、今回の内容もそれと同じようなものだと判断できる。
エロサイト巡りをした事があるならば、頭に何か適当なサイトを思い浮かべて欲しいのだが、そういったエロサイトには様々なエロバナーが掲載されており、海外サーバ系のエロサイトへのリンク(入り口) になっている。 また、動画を紹介しリンクを繋ぐ個別記事もあり、そこにも様々な形でエロ画像なりが掲載されている。 まずこれが大前提である。
では次に、ブログにそうしたエロ画像を掲載するにはどういう作業が必要になるか考えてみて欲しい。 管理者が、管理画面から、画像をアップする、またはそれに準ずる作業を行う事で、初めてブログにエロ画像が掲載される事になる。
今回のケースも、そして以前のケースも、それが 「日本国内から違法なわいせつ画像をアップした」 と見做されて逮捕に至ったのではなかろうか。
ここまでご理解いただけたら、続いて逮捕を免れているプロ(アダルト動画サイト自体の運営者など) が、どのように法の網をくぐり抜けているか知って欲しい。 また自分の記事になって恐縮だが、2014年にこのサイトに掲載した記事だ。
『FC2で性行為を生配信して逮捕 「海外サーバは合法説」の真相は?』
http://tablo.jp/case/society/news001530.html
今では多少形が変わっている部分もあるのだが、概ねこう覚えておいて貰えれば問題ないだろう。 ここまで手間暇をかけねば、日本人が無修正エロで安全に金を作るのは不可能なのである。 これが出来ないならば、安易に無修正エロで小遣い稼ぎをしようなどと思うな(あえて強い口調で言わせていただく)。
ネット上のインフラは公共物である。 国籍も性別も年齢も関係なく、共有の財産である。 しかし、一部のバカが国内法を無視して暴走すれば、各国の法律に合わせて様々な摘発が起こり、結果としてインフラ自体が殺されかねない。 チキンレースに失敗した人間がどうなろうと知った事ではないが、この共有財産が潰されるという自体だけは是が非でも避けねばならない。
したがって、今回のような事件が起きる度に私は何度も同じ事を言い続けるだろう。 「素人はエロに手を出すな」 と。 最低限の法律を学ぶ気がなく、最新の判例を常に気にかけるような心構えもなく、法に触れない(掻い潜る) 努力をするつもりもないならば、頼むからエロで金儲けしようとは考えないで欲しい。 これは素人に限らず、AV業界などにも言えることだ。
そもそも、今回のエロ動画まとめサイトの摘発など、すでに前例があったのだから、せめて文字情報だけでなんとかするとか、迂闊に無修正画像をアップしないとか、色々と回避手段はあったはず。 それを怠った挙句の逮捕なのだから、まったく同情する気になれない。
共有財産であるインフラを守る気のない人間はネットを使うな。 それが正直な感想である。
Written by 荒井禎雄
Photo by Skley
アダルト動画まとめの衝撃。