なぜ流行ってるラーメン屋は偉そうなのか5つの疑問

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疑問1 ラーメンはいつからこんな偉そうな食べ物になったの?

ラーメンといえばもはや日本の国民食。有名店の名前を問えば、誰でもすぐにお気に入りの4〜5店は挙げられるだろう。TVや雑誌ではラーメン評論家と名乗る人たちが活躍し、奇妙なラーメンをさかんに勧めてくる。有名店の店主は腕組みをした写真と共にメディアで自らのラーメン道を語り、客は頑固で気むずかしい店主に気を使いながら麺をすする。新しい店ができればラーメンフリークを自称する輩が大挙して訪れ、写真と味の評論をネットで即座にアップする。「家系」「二郎系」「野菜マシマシ」「味変」など、ラーメンフリークの間では暗号が飛び交い、サラリーマンの日常会話でもラーメン屋の話題は定番になった。

しかし、たかがラーメンだ。我々はいつからこんなにラーメンに気を使わなければいけなくなったのか。 日本におけるラーメンの歴史は戦後からだが、現在のラーメンブームの源流が始まったのは1990年代後半。日本中が浮かれたバブル期はグルメや食通を気取る行為が一般人の間でも浸透したが、バブルがはじけて景気が悪くなった頃からメディアでラーメンを扱うことが急増し、様々なラーメン専門店が有名になっていった。「料理の鉄人」を観たり「美味しんぼ」を読んで真似をしたくなっても、高級料理は庶民の手には届かない。

本来「食を語る」のは一流の料理に金を出せる富裕層にのみ許された遊びだが、庶民でも小銭でグルメを気取れ、「麺とスープ」という定義がシンプルで味の種類も豊富だったラーメンは格好の素材として持て囃された。メディアに取り上げる際には他店とのわかりやすい差別化が不可欠で、ラーメン専門店は話題になりやすいようなメニューを競って開発。ブームに乗って脱サラの素人が大量にラーメン業界に参入し料理の基本を無視した結果、スープと麺の開発はまるでミニ四駆の魔改造のように発展。過剰な味に慣らされた客もさらに過剰な味を求め、それをさらにメディアが煽ってブームが加速していった。

そしてラーメンは、いつしか単なるジャンクフードではなく庶民が「語る」モノへと変わってしまった。ラーメン屋では食べる前に写真を撮る行為が日常化し、口コミサイトでは食通を気取った素人の論評が溢れ、罵詈雑言が飛び交っている。 取り憑かれたようにラーメンだけをひたすら追求する人間が作ったラーメンを、ラーメンだけを異常に食べ続ける素人が論評する。その姿は、傍から見れば新興宗教のようだ。

疑問2 そもそも自家製麺って本当に美味しいの?

ラーメン専門店でよく見かけるのが「自家製麺を使用」というアピール。暗に既製品の麺には満足できず、店主がこだわって独自の味を創り上げた、という意味で使われることが多い。本当にこだわって作った自家製麺ならさぞかし美味いのだろう。
しかし、現在ラーメン屋に向けて業務用の麺を販売する有名な製麺所は100種類以上の麺を販売し、その他の個別注文にも対応している。専門で日夜麺を作っている製麺所の質を、単なる脱サラのラーメン好きのこだわりが越えられるのだろうか。東京の有名な製麺所の麺をひと通り試すだけでも、優に300種以上は存在するのだ。

実はラーメン専門店で自家製麺が流行している背景には製麺機メーカーの存在がある。近年、香川県の製麺機メーカー・大和製作所が小型の製麺機を開発しこれが大ヒット。売りにしているのは「製麺所から買うより、コストが下がる」というポイントだ。大手製麺所からラーメンの麺を仕入れると、1玉あたり45円前後の金額になる。これが大和製作所の製麺機を使うと1玉13円前後に下げられるという。一見こだわりのようだが、自家製麺はコスト対策という意味合いが大きいのだ。また、個人が作るため毎日同じ味をキープすることも難しく、味にバラつきが出るという側面もある。近年では「麺屋〇〇」「〇〇製麺所」といった店名を掲げる店も数多いが、単なるハッタリなのがほとんど。そんなカラクリに騙されてはいけない。

疑問3 煮込むことがそんなに良いことなの?

ラーメン雑誌では「10時間煮込んだこだわりのスープ」といった表現が数多く見られる。10時間より20時間煮込んだほうが凄い、といったような暗黙の了解を感じられることもあるが、これは果たして味に関係あるのだろうか? 確かにとんこつ系のスープはある程度煮込む時間が必要だが、それも程度問題。魚介系のスープは煮過ぎると逆に臭みが増す。煮込み時間が長いほど美味いなら、100時間煮込んだほうが美味いはずだ。

本来、ラーメン屋というのは誰でもが始められる職業。ラーメン専門店が増えた現在では本格的に中華の修行を積んだ料理人ではなく、ラーメン作りだけを学んだ店主の方が多い。「過酷な修行」を尊いものとして崇め配下に人生訓を説き「ガチンコ!」に出演したラーメン屋店主のように、傍若無人に振る舞うのは料理人としての自信のなさの裏返しかもしれない。ラーメン屋の店主や創作和風居酒屋の店員が作務衣を着用するのは、「職人」というイメージを強調するため。しかし作務衣は本来禅宗の僧侶が作業着として着たもので、料理人が着るものではない。

他にも様々な料理はあるが、調理人ではなく「職人」と名乗るのは、ラーメン屋だけだろう。清潔さを証明するためのコック服ではなく、汚れの目立たない作業着で調理するラーメン屋の主人は、果たして信用に値するのだろうか? 飲食店であるという大前提を忘れて客に大して不遜な態度で振る舞いバカでかい寸胴の前で「スープを20時間煮込んでる俺、偉いだろ」と威圧する姿は、滑稽としかいいようがない。

 

疑問4 なぜ人はラーメン屋の前に並びたがるの?

 

ラーメンにはダシをとったスープの他にタレ(返し)と呼ばれる調味料が入れられる。このタレには塩や醤油などの他に大量の化学調味料が入っていることが多い。その主要成分はグルタミン酸ナトリウムなどのうまみ成分だ。 グルタミン酸ナトリウムは日本の化学者・池田菊苗によって1908年に発見され、味の素として製造方法が発明された。現在はMSGという名で世界中でも使用されるようになっている。しかし、グルタミン酸ナトリウムには味覚から過剰摂取を感知できないという問題がある。例えば塩分を大量に摂取した場合、人間の体は拒否反応を起こして摂取することができなくなるが、グルタミン酸ナトリウムは人間の体内にリミッターがなく、ある程度の分量を超えると味覚の感受性が飽和状態になってしまうのだ。 熱狂的なファンを持つラーメン屋「G」や系列店の一部ではこのグルタミン酸ナトリウムをレンゲ1杯以上も使用していることが知られている。中華料理でも味覇(ウェイパァー)という化学調味料が大量に使用され、汁物から炒め物、チャーハンなど主要な料理には必ず入っている。 1960年代には米国で大量に摂取したグルタミン酸ナトリウムを原因とする中華料理店症候群(頭痛、眠気などの症状がでる)という症候群が報告された。現在、人体への危険性は一応否定されているが、その危険性を訴える研究はいまだ数多い。 また、ネット上ではプロテイン(タンパク質)とグルタミン酸ナトリウム、油を混ぜて飲むとβエンドルフィンが大量に出て合法的にトリップできると話題になっている。この成分はラーメンと非常に近いのだ。

特につけ麺ではスープやタレは年々濃くなり、麺はますます太くなるのが最近の流行。近年のラーメン評論家たちは年間1000杯以上のラーメンを食べるというが、行列に並ぶラーメンフリークたちは単にグルタミン酸ナトリウム中毒に陥っているだけではないのだろうか?

疑問5 なぜラーメン屋はポエムを書くの?

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なぜラーメン屋にはポエマーが多いのでしょうか。この謎は追っても追っても奥が浅すぎてよく分からないのが現状ですが、こうしているうちにもポエムはどんどん増殖しています。やろうと思えば、あいうえお順で辞典が作れるほどです。このままでは日本は質の悪い言葉に埋もれ、先進国から仲間はずれにされるでしょう。 そうならないためにも、弊誌はこれからもラーメン・ポエムに警鐘を鳴らしていきたい、このように考えています。

取材・文◎N.A.B.E.&岡本タブー郎