イソジン同様に「グリンス」も品薄・高騰 「吉村のせいで…」風俗業界が困っている コンパニオンたちが焦る理由とは――

そもそも論として、風俗店は常備している、と言ってもそれはソープやヘルスなどの店舗型風俗の場合だ。そして、いまやそれらの風俗店は度重なる規制や条例でマイノリティとなっており、多数派を占めている派遣型風俗(合法・違法ともに)では風俗嬢自身が常備しているケースが少なくない。そういった意味では風俗業界にとって、吉村発言がダメージとなったのは事実で、これが府内の風俗業を委縮させることまで予想していたのなら、知事の大変な深謀遠慮ではある。

実は、吉村発言を待つまでもなく、風俗業界ではコロナ禍による集客などの直接的な影響だけではなく、細かい部分でも様々な影響は受けていた。話題となったポピドンヨードを含む『イソジン』もそうだが、風俗嬢にとってはイソジン同様にマストである『グリンス』(正式には『グリンスα』)なども品薄、あるいは価格が高騰していたからだ。

グリンスとは、簡単に言えば薬用石鹸の仲間なのだが、家庭で使うものより消毒効果が強く、本来は医療現場などで使用するものだ。しかし、衛生面に強く神経を使う風俗嬢には人気で、大多数がグリンス(及び類似品)を使用していると言ってもいい。そんなグリンスが高くなっている、また必要なときにすぐ手に入らないというのが彼女たちのストレスとなるのは想像に難くない。

コロナ禍のなかで濃厚接触が懸念される風俗業を続けることの是非はあるだろうが、少なくとも法令下で営業している以上、それ自体は問題とされることではない。そのなかで、生活のために仕事をせざるを得ない彼女たちの苦衷は理解してもいいのではないか。

 

参考記事:「風俗嬢は貧困で性暴力を受けている」に異論 “可哀想”なのは想像力のない「あなた」です 吉原現役コンパニオンの主張 | TABLO