「障害者によるお笑いは笑えない」をひっくり返した『R-1ぐらんぷり 2018』
昨夜(3月6日)、R-1ぐらんぷり2018が開催されました。生放送のネタ番組はとても好きです。時事ネタを含め何が起きるか分からない、生放送ならではのハプニングも含めて面白いです。この1年の流行の誕生、新たな幕開けの目撃者になれます。
そして今回のグランプリは、濱田祐太郎さん。彼は光を感じることはできる、限りなく全盲に近い弱視だそうです。
杖を持って付添人と共にステージに現れた時、どんなネタをやるんだろうとなぜか私は緊張し始めました。
彼の漫談が始まると、聞き取りやすい流暢な関西弁に驚きます。ネガティブさが全くなく、自身の経験をとても分かりやすくかつ面白くしゃべくり倒します。全盲の世界を知らないであろう会場も盛り上がっていました。
新しい風が吹いた気がしました。
この結果にとても納得でした。
なんなんだ彼は…私も彼のように明るく面白く、まっすぐな目をした人間になりたい! と思いました。
障害者による障害ネタは笑われにくいことがあります。こちら側は笑ってほしいと思っても、難しい。その反応は期待とは違うものです。だから、「笑いのツボはみんな違う」、そう思うようにしています。
でも彼は違った。
なんであんなに面白いのか。彼のお笑いへの追求心や少しでも聞き取りやすくしてもらうための喋り、たくさんの努力の結果なんだろうと感じました。
決勝での、彼の漫談中の審査員の表情もとても印象的でした。我が子を見守る暖かな眼差しに見えました。多少の同情もあったのでしょうか? いえ、単純に面白い彼を応援、後押しをしているように思えました。
決勝にあがった3名。
頭皮が薄い自分をいじったおぐさんのネタ、ぽっちゃりした体を揺らしながら貫禄を見せつけたゆりやんさん、視覚障害を活かした濱田祐太郎さん。
マイナスに言われてしまうこともある身体的特徴だが、個性とも言える。お三方が強味にされていること、見習っていきたいです。
R-1ぐらんぷりはピンで活動されている芸人さんにとっては一番メジャーな大会。そのグランプリを濱田祐太郎さんが受賞したことで、これから何かが変わっていく、時代が変わっていく、みなさんそう感じてると思います。
そして視覚障害以外の漫談も見たいです。彼ならどんな漫談も面白いだろうなぁ。(文◎あもり・欠損バー『ブッシュドノエル』所属)