「5時に夢中!」がサンテレビから消えた!? 関西でなぜ5時夢は観られなくなってしまったのか?
「5時に夢中!」がやってない!?
毎日楽しみにしていた5時に夢中!がやってない…
4月最初の放送、関西の5時夢ファンはサンテレビにチャンネルを合わせてびっくりしたことでしょう。
リモコンの3のボタンを押してみても流れるのは通販番組。元Jリーガーの城彰二がブルブルする機器をお腹につけてダイエットしているのです。
あんなに面白い番組を終わらせて通販!? ニュース女子終了よりこっちの方が大問題じゃないか!、と怒った方もいらっしゃるかもしれませんが、落ち着いてください。
リモコンの選局ボタンを上に1回押してみると画質が悪いとはいえ、しっかり5時に夢中!が放送されています。
しかも15分拡大した60分枠での放送、画質は落ちたものの関西の5時夢ファン念願のフルバージョン放送です。
テレビに詳しい方はどういうことかお気付きかと思いますが、サンテレビは4月から17時台のマルチ編成を開始しました。通販番組と5時に夢中!を同時に放送しているのです。
U局では、TOKYO MXと三重テレビくらいしか日常的にマルチ編成を活用しているテレビ局がないので一般的にはあまり知られてませんが、同時に2つ以上の番組をテレビ局は放送することができるのです。
ちなみにチャンネルのボタンを押した際に流れる番組をオモテ、そこから選局ボタンを押すと流れる番組をウラと呼ぶことが多いです。
ですので、通販番組がオモテ、5時に夢中!がウラになります。
何故マルチ編成を始めたの?
しかし何故急にサンテレビはオモテで放送していた5時に夢中!をウラに移動してしまったのでしょうか。
マルチ編成を実施すると番組の画質が劣化するので、明らかにマイナスなのです。1つのテレビ局が同時に送信できるデータ量は決まっており、普段はデータ量を上限いっぱいまで使用して1つの番組を放送しています。
マルチ編成の場合は、そのデータ量を2つに割って2番組の同時放送を実施するので、1番組辺りに割り当てられるデータ量は半減するのです。
通販を放送するために画質を落ちるマルチ放送を実施、更には元々放送していた人気情報番組をウラに追いやる、普通の発想では理解できない展開ですが、これには悲しい事情がどうやらあるようです。
「4時!キャッチ」という月~金16時からの1時間の情報番組をサンテレビはひっそりと4月からスタートさせました。長らく情報番組を週1でしか放送していなかったサンテレビにとって、人員の問題、お金の問題を考えてみてもかなり思い切った改編です。
しかもこの番組、以前はU局の収益の柱である通販番組を毎日放送していた時間帯で放送されているのです。
現状、新情報番組には提供スポンサーもついてないでしょうから、収益的にはかなり打撃をうけるはずです。しかしそんな状況だろうが、新番組を立ち上げるサンテレビはさすがです。他の通販ばかりしているU局とは一味違います!
……と、ここまでで終わればカッコいい話だったのですが、そうはいかないのがU局の悲しいところ。
皆さんもお気付きでしょう、通販枠はあろうことか5時に夢中!を放送していた17時枠にまるっと移し替えられただけなのです。
16時から情報番組を放送したいし、通販番組の収益は落とせないし…そんなジレンマを解消するために生まれたのが5時に夢中!と通販番組の同時放送なのです。
何も17時に移動しなくても…と思いますが、よくよくタイムテーブルを見てみると朝から夕方にかけて5時に夢中!以外の枠は通販、もしくは通販CMばかり入っている韓国ドラマや時代劇ばかり。そちらの画質を落とすこともできず、泣く泣く17時に移動したのでしょう。
オモテで放送していた番組を同時刻のウラに移動させるという前代未聞の改編はこのようにして実現してしまったのです。
「4時!キャッチ」がサンテレビ版「5時に夢中!」になるの?
4時!キャッチの番組内容についてですが、タイトル自体は明らかに5時に夢中!を意識したネーミングです。
しかし番組のコンセプトは「その日の出来事をどこよりも早く、兵庫の、神戸の”今”を伝える!」、とのこと。これを見る限り、5時夢ファンにとってはかなり物足りない、至って普通の情報番組になりそうです。
ちなみにメインのMCを務めるのは元石川テレビの弘松優衣アナ。フリーになったばかりの関西出身アナウンサーとのことです。
そして曜日毎のコメンテーターですが、残念ながら金曜日の三船美佳さん以外ウェブ上では公開されていません。
第1回目の放送は、小林祐梨子さん(陸上女子1500mの日本記録保持者)、狩野恵輔さん(阪神タイガースOB)のお二人だったようです。
お二人とも恐らく情報番組でのコメンテーターの仕事はほぼ初めて、未知数の出演者だらけで想像がつきませんが、きっと過激な発言はされないのでしょう。
どうせお茶の間に馴染みのない方を起用するなら最初期の5時に夢中!のマツコ・デラックスのような強烈なキャラクターの方が……とは思いますが、この何ともいえない人選がU局っぽくて安心します。
5時に夢中!をウラに追いやって、4時!キャッチをスタートさせる。
「東のMX、西のサンテレビ」とも言われるサンテレビですが、中身はMXとは対照的なのです。(取材・文◎ジャミロ熊井)