新100ドル紙幣にもフリーメーソンの陰謀? 浮かぶ不気味な図柄…米国騒然の都市伝説
アメリカで8日、新ドル紙幣が発行された。偽造防止のため特別な印刷技術が施された新紙幣は印刷トラブルなどにより予定から2年遅れて流通がはじまった。米国では偽造を防ぐ目的で、1ドル紙幣と2ドル紙幣を除く全紙幣が過去10年の間にデザイン刷新されている。
米連邦準備制度理事会(FRB)がセキュリティに絶対的自信を持つ今回の100ドル紙幣には様々な注目が集まっている。ベンジャミン・フランクリンの肖像画は旧紙幣と同じだが、新たに中央に配置された青い「3Dセキュリティリボン」と、見る角度によって色が変わる「自由の鐘」の図柄には数十万個のマイクロレンズが織り込まれており、米造幣局長のラリー・フェリックス氏も「米国がこれまでに製造してきたなかでもっとも複雑な紙幣だ」と語っている。
100ドル紙幣は1ドル紙幣に次いで流通量が多いが、その2/3以上が米国外に存在するという奇妙な紙幣だった。米国内の商店などでは100ドル紙幣は物珍しさや偽造を疑われて使用できないことも多い。また、国際的な犯罪組織による麻薬密売などの違法取引に使われてきた経緯があり、北朝鮮製「スーパーノート」など大規模な偽造のターゲットになりやすく、実際にドル紙幣でもっとも偽造されているという。
そんないわくつきの新100ドル紙幣だが、米国内では早くも陰謀めいたある噂が流れている。これまでもドル紙幣には秘密結社フリーメーソンやイルミナティの痕跡があるといった都市伝説は広まっていたが、今回の100ドル紙幣の新デザインには、「米国に迫る2つの危機」が暗示されているというのだ。
新100ドル紙幣を折り曲げると、2つの奇妙な図柄が浮かび上がる。ひとつは、ニューヨークのビル群を襲う津波だ。米国全土が巨大に飲み込まれる有名パニック映画でも似たようなシーンがあるが並べて比較するとわかりやすい。そしてもうひとつは、発射された核ミサイルらしき図柄だ。
債務上限引き上げで結論が出ず、デフォルト危機が迫っている米国政府。すでに一部ではこのタイミングで発行された新ドル紙幣に関して、「やがて新旧紙幣で交換比率を変えて米国の対外債務を軽減するのが目的」「北米新通貨アメロ導入の布石」といった金融陰謀論まで囁かれている。中国に次いで米国債保有額で第二位(2012年12月16日現在、1兆1701億ドル)の日本にとっても対岸の火事ではいられない。なんとも因縁めいた新ドル発行である。
Written by 内村塩次郎
Photo by Federal Reserve
世界の陰謀論を読み解く――ユダヤ・フリーメーソン・イルミナティ (講談社現代新書)
アメリカは危機だらけ。