札幌時計台……!? 愛知県の山奥に一人で村を作ってしまった仙人がいた! 「ネオキタロー村」
「仙人」なんていう存在は大昔の伝説や遠い国にいるものだと思っていませんか? いえ、21世紀の日本にも仙人は存在します。それも現代的なあり方で。愛知県岡崎市、スマホの電波も届かない山奥に仙人の住処が姿を表します。
▲村(遠景)
珍なオーラ、否、ビームとでもいうべき異様さがほとばしっています。道を挟んで反対側には札幌時計台。
▲札幌時計台
これは一体なんなのだろうか。
全体から得体の知れない狂気が噴き出しています。
▲ネオキタロー村、お気軽に
村名と「お気軽に」というポップな(にしようとした)看板、ぶらさげられたパソコンのキーボードなど、脈絡のないカオス空間が広がっています。
お気軽にという割には、門扉はしっかり閉じられており、仙人のものと思しき携帯電話の番号が掲げられていますが、ここは圏外。あたりを見渡してみると、村への入り口は札幌時計台(のようなもの)の脇に。
▲入り口
おそるおそる中を覗くと、一人の老爺が何か作業をしておられます。
「おぉ! こんにちは! 案内聞く?」と仙人。やばい!見つかった! 僕の返事を待たずに仙人は道路へ出て、ネオキタロー村の解説がスタート。その話しっぷりは独特の節まわしながら、ガマの油売りかバナナの叩き売りの口上かというように饒舌です。
▲案内する仙人
案内によるとここは仙人の私有地で、なにもない森だったけれど、人目がないのをいいことに不法投棄が多かったといいます。仙人は監視カメラを設置したけれども不法投棄は止まらなかったので、自ら監視してやろうと手作りしたのがこのツリーハウスだそう。
▲ツリーハウス
それを見た知人に「ゲゲゲの鬼太郎の家みたい」と言われ、ここをネオキタロー村と命名。仙人あらため村長が、村を案内してくださいました。
五右衛門風呂は隣の釜でヨモギを焚いてヨモギ風呂にもできるのだそうです。野外ステージ(自称)も全て村長の手作り。いつかは誰かにコンサートをしてほしいとおっしゃっていましたが、電波も届かないこの僻地オブ僻地にどうやって集客するんだろう。もはや不法投棄がどうのというところからは完全に離れきっていますが、村長はそんなことお構いなし。
案内はいよいよ札幌時計台(のようなもの)の内部へ。実はここ、村長が奥様と(結婚してるのか!)札幌へ旅行した際、奥様が大変に時計台を気に入ったため、自分の土地に作っちゃったのだそうです。果てしない愛のあるプレゼントでしょうか。
これまでの野ざらし感とは一転、この中はとてもしっかりとできていて清潔感もあります。
▲時計台内、テレビやカラオケ
希望者は一泊千円で泊めているんだとか。布団はもちろん冷蔵庫やテレビ、なんとカラオケまで完備。村長お手製の釜もあるのでピザを焼いたりもできます。前の週も、大学生4人組がお酒を持って泊りに来たんだと楽しそうに話されました。
時計台のテラス(そんな言葉は似合わないけど)に出ると、なんと鐘塔が。
▲鐘塔
村長は訥々とこんなことを語りはじめました。
年に何組か、ここに泊りに来て楽しそうにしてくれる人がいる。たまに合コンも開かれる。私も老い先短い身だけど、死ぬまでにここで結婚式を挙げてくれるカップルが一組でもいたら幸せだな。そんな未来を夢見ているよ。
▲鐘塔を見上げる村長
急にそのギアいれてくるんですね。そんな顔して夢を語られたらグッと来てしまいます。
帰り際、突然「あなた見たことある」と村長。なんと私ツバキングのことを知ってくださっていました。サインと写真を求められたので、快く応じました。通常はこの案内も協力費として200円かかるそうなのでお支払いしようとしたのですが、受け取ってくれませんでした。東京でサインや写真を求められることなんてほとんどないのに、こんな山奥で顔パスが効くなんて。
▲ツバキングサイン、村長と写真。
裏ピースなんて村長、パンクですね。
愛と夢はたくさんあるけど、限りない変人のネオキタロー村長にあなたも会いにいってみては?(連載・Mr.tsubaking 『どうした!? ウォーカー』第六回)
ネオキタロー村
愛知県岡崎市井沢町神田(そのあたりの森の中)