殺人者は眠くなる 「座間9人殺人事件」白石隆浩被告は眠い目をしていたのだろうか

ある公立大学の先生(役職はぼやかしておきます)の場合。インタビュー中に「なぜ事件を起こしてしまったのか(人を殺めてしまったのか)」と尋ねると、急に眼がトロンとしてしまい、眠そうな表情になりました。そして「何でそんな事を聞くのですか」と返答しました。その表情に、昼間で人が多い喫茶店の中にもかかわらずぞっとした事を記憶しています。

また、あるヤクザに取材した際、刑務所に入った理由を尋ねると「殺人です」と答えました。それまでしっかり受け答えしていたのがその時も、眼がトロンとしたように見え、またも不気味な想いにとらわれたものです。

千葉・市川で一家四人を強盗目的で殺害し、永山則夫以来、未成年で二人目の死刑判決を受けた関光彦元死刑囚も永瀬隼介著「19歳」では、殺害後「眠くなるんですよね」といった言葉を著者に手紙などで投げかけています。

白石被告も僕の感覚では「人として一線を越えてしまった」と見ています。そして「日の下に新しきものはない」ということわざを冒頭に引用しましたが、白石被告の所業はどのシリアルキラーにも当てはまらないような気がします。彼の幼少期のレポートも発表されていません。と、言うことは動物虐待など目立った行動をするような人間ではなかったようです。

白石被告の裁判が開かれてから、彼に面会に行った記者たちの証言から彼の似顔絵がテレビで散見されるようになりました。彼の言葉そのものは開き直りと言えるもので、例えば池田小学校の宅間守元死刑囚や植松聖死刑囚と同様のものを感じます。

そしてやはり、気になるのが似顔絵の目です。僕からは白石被告の似顔絵(とは言え)眼がトロンとしていて、眠くなっているような気がします。一線をこえてしまった人間の特有の表情な気がしました。《文中一部敬称略》(文◎久田将義)

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