ももクロは本当に反日創価アイドルなのか~「ネットウヨク論」番外編

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ももクロが戦争認識について反日発言をしたとして、ネトウヨが大騒ぎして炎上状態だ!……と、一部のメディアやまとめブログが騒いでいる。

オチから先に言って申し訳ないが、”騒いでる”のは「そういう事にしてバカを煽ってPV数を稼いで広告料で儲けたいお前らだろう?」という話なのだが、それを言っちゃあオシマイなので、もう少し詳しくこの件について考察してみよう。

連載中のネトウヨ問題とも密接に絡んでくるテーマなので、「良いサンプル事例だなぁ~」というのが正直なところである。

さて、先日アップされたネトウヨ論の第7回にも通じる内容だが、ここでも何故か”創価”というとても面倒くさいキーワードが出て来る。ネトウヨ問題に詳しくない方は違和感を感じるかもしれないが、ネトウヨ君達にとって【反日売国奴・朝鮮・韓国・パチンコ・創価・日教組】辺りは1セットなので、ここではそういうものなんだと納得しておいて頂きたい(後日何でそうなるのかについて説明します)。

これは私が東村山問題(詳しくは連載の第7回で紹介したリンク先をご参照ください)でやった事なのだが、こうしたレッテル貼りや陰謀論の類に疑問を感じたら、まずは可能な限り要素を分解し、1つ1つ検証していくという方法が、結局は一番手間が省ける。

したがって、ここでも「ももクロが本当に反日創価アイドルなのか?」を

(1)ももクロが反日的発言をしたのか?

(2)ももクロと創価の関係性を立証できるのか?

に分けて考えてみる。

ではまず(1)のももクロが反日発言をしたか否かについて。どうしてそういう話になっているのかというと、古市憲寿氏(社会学者)の著作にももクロとの対談が収録されており、その中で古市氏がももクロに戦争についてあれこれ聞いたところ、一部のネトウヨが心の病気を発症してしまうような発言が飛び出したんだそうな。

ではももクロがいったいどのような受け答えをしたのか抜き出してみよう。(※解りやすく要約してあります)

ーー現代の戦争で総力戦は殆どなく、あまり人が死ななくなっている(古市)

「規模が小さくなったとはいえ死人は出るし自然環境への悪影響もあるだろう」

「赤紙が家に来ても困る。自分の命も大切に思うべき」

「父親に戦争に行って欲しくない。戦争のメリットよりデメリットばかり目立つ」

 ◇

ーー太平洋戦争突入の経緯について(古市)

「当時は日本も強く国土を拡張していて、危機感を持ったアメリカと対立して戦争が勃発した」

 ◇

ーー嫌韓の風潮について(古市)

「日本にも韓国に悪いイメージを持つ人間がいるのと同様に、韓国には韓国の言い分がある。それが喧嘩のきっかけになるなら、歴史認識など韓国の言い分も知りたい」

 さて、これらのどこが反日的なのだろう?全体を見ると、ところどころに無知な点はあるものの、今時のハイティーンの女の子の答えとしては、むしろ冷静であると評価できるのではなかろうか?

「戦争=死・破壊」を恐れる気持ちはあって当然だし、それが全くない人間などよほどの狂人か中二病をこじらせた口先だけのバカだろう。生物の本能として死が怖いのは当たり前だ。

太平洋戦争突入の契機についても意外と正確に把握しているし、嫌韓の風潮については「どちらの側にも正義はある」「相手の言い分も知っておきたい」と、これ以上ないほど冷静な判断ができている。相手の言い分を知らずに論争に勝てる訳がないのだから、「日本が絶対に正しい!韓国は100%間違っている!」と、ロクすっぽ勉強もせずに感情任せに喚き散らしているバカと比べたら、バカキャラに定評があるはずのももクロの方がよっぽどオトナだ。

これが反日的だと言うならば、暴走族上がりのチンピラ右翼がやる「右翼テンプレートの丸暗記」をしなければ、どいつもこいつも反日的だという事になってしまうが、いつから日本人はそこまで知能レベルが下がってしまったのだろうか?

余談になるが、なぜチンピラのような風体の右翼が特攻服を着てお決まりのテンプレートをがなり立てるかと言えば、学も向上心もないDQNだけあって、余計な事を言わせると危ないからと、先輩がテンプレだけ覚えさせて「それ以外は口にすんな!」と釘を刺すからだ。逆に右翼・民族派の中でも頭のキレる弁の立つ人物は、意外とゆる~くアドリブを効かせて喋るものなのだが、とにかく”テンプレ通り”を求めるネトウヨは、実は自分達が憎んでやまない見下す対象であるはずのDQNと、オツムのクオリティもメンタルも瓜二つなのである。むしろ上下関係を重んじて、割と素直なところのあるDQNの方が、人間として付き合いやすいくらいだ。

さてさて、続いてももクロと創価の関係性についてだが、これについては全く確証がない。強いて言えばリーダーの百田夏菜子(赤)が、昼の番組で久本雅美と共演しているという点くらいしか見当たらないのだが、久本の共演者が全員創価だと言うならば、芸能人の大多数が創価学会員という事になってしまうのだが……。たったこれだけの話でももクロを”創価アイドル”とレッテル貼りしているバカがいるというだけのオチだ。

で、これのどこが「ももクロが反日創価アイドル」なのかという点についてだが、結局のところこの連載のまとめブログの回で説明した通りの話でしかない。見出しで人目を惹いてPV数と広告料を稼ぎたいWEBニュースやまとめブログが”そう言い張っているだけ”なのだ。そしてそれに踊らされるバカがいっぱい釣れたと。

ついでに言っておくと、「ネトウヨがももクロを批判している!」という言い方自体にも誤りがある。上で散々「ネトウヨがー」と言ってはみたものの、これは何らかの思惑があってももクロの悪評をばら撒きたい連中が、ネトウヨに責任を押し付けて美味しいところだけ頂こうと考えているだけに過ぎないと見るべきだろう。

なぜそう言えるのかというと、ももクロはネトウヨらの間で「日の丸アイドル・愛国アイドル」と呼ばれているグループだからだ!(ここ笑うところです)

ももクロが2012年6月に発売(発表)した『PUSH』という楽曲があるのだが、それのMVが日の丸をバックに歌い踊るという内容で、それを見たネトウヨ紳士らから「ももクロこそ日本一日の丸が似合う愛国アイドルだ!」と大評判だったのである。

これがたった1年前の話なのだから、この時にももクロを持ち上げていた層と、今回ももクロをクソ叩きにしている層は、あまり被っていないのではなかろうか?むしろ韓国批判をしつつも、今回のももクロの発言を擁護している連中こそが、PUSHでももクロを持ち上げていた層だと感じる。

この辺がメディアの卑劣なところで、一口に”ネトウヨ”と言っても1つの個体という訳ではない。”中の人”それぞれに好みの違いはあるし、推しているアイドルだって違うだろう。

はい、そろそろ答え行きます。

今回の一件で「ももクロを批判しているのはネトウヨだ!」と言ってしまうのはオツムが足りない。このように要素をひとつひとつ検証してみると、単にももクロを快く思っていない連中が、ネトウヨ的な言動をまくし立てて炎上を狙っているだけだろうという答えに行き着かないか?

早い話が、ももクロが隙を見せてくれたから、ももクロの悪評が広まった方が面白い、都合が良いと考えている連中(メディア含む)が、これ幸いと”ネトウヨキャラとしてロールプレイングしているだけ”もしくは”そうと知っていてわざと煽っているだけ”と見ておくべきではなかろうか?

それにしても、今回の件はたまたまターゲットがももクロだったが、これが仮にAKBであろうとハロプロであろうと、私は同様に批判しただろう。対象が誰であれ、デマやレッテル貼りや陰謀論で他者を攻撃するなど幼稚すぎてヘドが出る。

このくだらない話がこれ以上”炎上”するとは思えないが、ももクロ側の誰かが批判されねばならないとすれば、まだまだ大人とはいえない少女達に、よりによってこんな風潮の中で戦争や政治について語らせてしまった周囲の大人だろう。それにしたって「今はもうちょっと仕事を選んだ方が良いんじゃないの?」という程度の話でしかない。

真の愛国者や国を憂う人間だったら、アイドルの女の子の発言に一々目くじら立ててる暇なんかないって。特にやる事もない暇なバカだからこそ、ネットで騒ぐ時間があるんだから。しかも対象がアイドルだなんて、見てる世界が狭すぎるだろう。その辺りからも、今回の一件で騒いでいる層がどの辺りなのか想像がつくというものだ。

と、とても良いサンプルだったので、軽く「ネトウヨとはなんぞや?」というテーマに踏み込んでみました。次回からはまた基礎知識編が続きます。

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Written by 荒井禎雄

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