「ネットは匿名」のウソ…中傷ツイートに情報開示命令~ネットウヨク論:番外編

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未だにネットは匿名で何でも好き勝手な言葉を吐けると思っている人間がいたら、ぜひこのニュースを読んで欲しい。 「ネットは匿名!」 なんて言い分は、もはや通用しないと諦めるべきである。

『「詐欺師」「自己中」「ぶさいく」中傷ツイートの投稿者情報、開示認める 東京地裁』(msn産経ニュース)

短文投稿サイトのツイッターで「詐欺師」などと中傷された静岡県の男性(62)が、投稿者を特定するため米ツイッター社に接続情報の開示を求める仮処分を東京地裁へ申し立て、認められていたことが20日、分かった。(中略)

原告側代理人によると、男性は平成23年ごろからツイッター上で「弁慶東作」と名乗る人物から「この詐欺師!」「自己中ぶさいく」などと繰り返し中傷され、昨年4月、同社に投稿者の接続情報を開示するよう求める仮処分を申請。地裁は7月、男性への名誉毀損(きそん)を認め「IPアドレス」と呼ばれるインターネット上の住所の開示を命じた。

原告側は同社から開示された情報を元に、プロバイダー(接続事業者)のソフトバンクBB(東京)に氏名や住所の開示を求める訴えを起こし、地裁は今月16日、開示を認める判決を言い渡した。(後略)

 感情的な言葉のやり取りはTwitterの名物とも言えるが、くれぐれも 「法的にどこまでOKか」 を勉強してからツイートするべきだ。 大して勉強もせずに 「ネットの匿名性」 などという大嘘に甘えていると、こういう酷い目に遭う。

今回のケースで興味深いのは、詐欺師やぶさいくといった、今となっては大して酷い言葉とも思えない単語で名誉毀損が認められている点だ。 ネットのやり取りに慣れると感覚が麻痺し、この程度の単語は挨拶程度のどうでもいい言葉に思えるかもしれないが、裁判所に判断を仰ぐとこうなるのである。

訴えられるか見逃して貰えるかは、自分が悪意をぶつけている相手が 「どれだけ本気になるか?」 にかかっており、安全圏から石を投げているつもりでも、実は相手の方がイニシアチブを握る事になってしまうのだ。

これをネットウヨク論に沿った内容に変換すると、まず在特会メンバーらが口癖のように発する 「ゴキブリ朝鮮人」「レイプ民族」 といった言い様は、相手が本気になったら酷いしっぺ返しを受けるだろう。 ぶさいくや自己中でダメなのだから、ゴキブリやレイパー呼ばわりはアウトに決まっている。 また、特定個人に向けて命の危険を感じさせる言葉を吐くなどもっての外だ。

「ネットは匿名」 というのは10年前ならば通用したかもしれないが、今では様々なトラブルや事件のお陰で判例が蓄積され、見事に切り崩されてしまった。 今回取り上げたケースのように、意外と簡単に名誉毀損が認められ、接続情報(いわゆるIPアドレス)の開示から始まり、それを元にして端末の特定(住所氏名の特定) までトントン拍子に進んでしまう。 今やそういう時代なのだと把握した上で、ネットという公の世界で発言すべきであろう。

また、ネットウヨクを題材にすると、どうしてもネットウヨク団体の構成員達の危うすぎる言動にばかり注目が集まるが、「法の下の平等」 という言葉の通り、反ほにゃらら会・反レイシズムを掲げている人間であっても、言動がマズければ同様に裁かれるのが当たり前である。 もしネトウヨ団体と反レイシズム団体が同じ暴言を吐いたとして、ネトウヨ団体の方だけが裁かれたとしたら、それこそ憲法違反になってしまう。

愛国や反差別といった大義名分を掲げて活動するのであれば、つまらない事で味方に迷惑をかけないように心がけるべきであろう。 「愛国だから、反差別だから」 は何の言い訳にもならず、自分が悪意ある言葉を向けた相手がどう動くか次第になってしまう事をくれぐれもお忘れなく。

Written by 荒井禎雄

Photo by Chris Halderman

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