張本勲から考えるコメンテーター論、彼を黙らす最終手段とは?|プチ鹿島の『余計な下世話!

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張本勲がまた何かやらかしたらしい。子どもの頃から喧嘩と野球に明け暮れ、アウトレイジな武勇伝もたくさん持つ張本。今回は一体何を? おなじみ「サンデーモーニング」(TBS)の「週刊御意見番」のコーナーでサッカーの三浦知良に対し「もうお辞めなさい」と言ったのだ。

さらに、J2は「野球でいえば2軍だから」とか「若い選手に席を譲ってやらないと」と追撃したという。

現役時代、張本は「安打製造機」と言われたが最近の「炎上製造機」ぶりもすごい。炎上広角打法。張本を嫌悪する人が多いのもとてもわかる。

大事なことを言います。張本は傲慢です。でも一方で、今回の件は「コメンテーター論」でもあると思うのだ。

最近「降板させられた」とか「圧力を受けた」とか、コメンテーターというお仕事が話題だ。しかし張本を通して考えてみると、ひとつの見方が浮かんでくる。なぜあれだけ反発を呼ぶ張本が今も「喝!」と言いながら毎週大きなお世話を言えるのか?

みんな話題にするからである。「今週の張本は何を言ったのか」と注目してしまうからである。そして「ほら言った!」「信じられない」と叫んでしまう。「3000本ヒットを打った大御所おじさんがまた言ってる」という少数のニヤニヤ派も含めて。

正直、番組にとっては貴重な存在ではないか。司会の関口宏は張本が何か問題になりそうなことを言うといつも困ったような表情を浮かべるが、一瞬、もっと欲しそうな目をしているときもある。「もっとこい、ハリー」というような。

張本と言えば5年前にこんな事件があった。

【張本氏の「喝」で…江川紹子さん”降板”(2010年6月19日)】(日刊スポーツ)

楽天(当時)の岩隈久志投手が試合途中で降板したことに、張本氏が「喝」「無責任」と断じ、江川氏は「え~」と、張本氏の発言に納得できない趣旨のリアクションをした。

そのあと江川氏は降板。立腹した張本が自身の出演見送りをTBSに求めたと江川氏がツイッターに書きこんで騒動になった。張本は否定し、真相は闇の中。最近の「圧力があったのか、なかったのか」とそっくりではないか。大ヒールの張本。

でもここで思い起こしたいのは「張本と江川、もし二択になったらどちらを選ぶのか」という番組の決断だ。

残ったのは張本だった。

その結果、今も張本は話題になり続けている。張本を選んだのは番組の正しい選択だったのかもしれない。これ、ひとつの「コメンテーター論」ではないだろうか。

もちろん張本の理不尽な物言いについては野球ファンこそ納得できないこともあるし、実際、ダルビッシュなどはこのコーナーによく噛みついている。上原浩治も反論した。

そうなると余計に張本が注目されるシステム。

もしかしたら、何か話題になることを言わなければ「若手に席を譲ってやらないといけない」と張本はコメンテーターとして毎週自分に厳しくしているのだろうか。「早くお辞めなさい」と言われるプレッシャーと闘っているのだろうか。まさかとは思うが、そんな想像も一興である。

そんな張本勲だが、私はあのおじさんを黙らせる方法をひとつだけ知っている。金田正一である。以前カネやんがゲストに来た時、張本は大先輩の前で借りてきた猫のようにおとなしかった。そろそろカネやんの投入に期待したい。

そうしたら今度はカネやんが暴言連発でもっと大きな騒ぎになるかもしれないけど。

Written by プチ鹿島

Photo by JNN「サンデーモーニング」公式HPより

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プチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」

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